「Xperia PRO-I」のカメラを試す 1型センサーの実力は? AQUOS R6やiPhone 13 Proとの比較も(3/3 ページ)

» 2021年11月11日 17時00分 公開
[荻窪圭ITmedia]
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Xperia PRO-Iでいろいろ撮ってみよう

Xperia PRO-I Xperia PRO-Iで撮影中の図

 ではXperia PRO-Iの話。

 基本的にカメラ機能は「Xperia 1 III」を踏襲している。Photography Proという独自のカメラアプリがあり、BASICモードだとスマホカメラ的なデザインになり、それ以外のモードはデジタルカメラっぽいデザインになる。

Xperia PRO-I BASICモードは画面にシャッターキーがあるスマホカメラ的デザイン

 これはBASICモード。Xperia 1 IIIとの違いは「F2.0」と「F4.0」の切り替えボタンがついたことだ。これをタップすると2.0と4.0が順繰りに切り替わる。

 このモードの良さは、背景ぼかしや動画撮影、さらにシーン自動認識、インカメラでの撮影、さらに画面上にシャッターキーが出現すること。まあ普通にスマホカメラとして使えるモードと思えばよい。

Xperia PRO-I BASICモードでハロウィーンモードのティラミス。料理と認識してくれた。写りは文句なし。背景のボケ方もいい

 BASIC以外の4つのモードはこの画面になる。このときは画面にシャッターキーがなく、側面の物理的なシャッターキーを押して撮影する。コンパクトデジカメ的に使えってことなのだ。残念なのは画面が縦位置対応じゃないことかな。なんだかんだいってスマホは縦位置で撮ることも多いから。

Xperia PRO-I 側面のシャッターキーで撮る。半押しにも対応。その横にある丸ボタンはVideography Proを起動するボタンだ

 Xperia 1 IIIなどとの違いはやはりF2.0と4.0の切り替えだ。

 で、絞り値を2段階に切り替えられるようになったから、PSMに絞り優先AEのAが加わるかと思いきや、PSMの各モードでF2.0と4.0を手動で切り替えられるようになったのだった。

 BASICモードだとワンタップで交互に切り替わるので簡単だけど、それ以外のモードだとタップして選んで閉じるという3タップ必要になるのがちょっと残念なところか。

Xperia PRO-I Pモードの画面。プラスの補正をかけて明るくしているの図
Xperia PRO-I プラス3分の2の補正をかけて全体に明るく白さを強調するように撮ってみた

 で、このモードのいいところはワイドな画面をうまく使い、細かな撮影セッティングをさっと行えること。特に露出補正が簡単なのはいい。αシリーズのようにもうちょっと細かい画作りもできたらもっとよいのに、とは思ったけど。

 また、AF-Cモードにして「AF-ON」ボタンを押すと、AFが被写体を追い続けてくれるので、どこにピントを合わせているか確認しながら撮れる。これは素晴らしい。この辺がPhotography Proの楽しいところだ。瞳AFをオンにしていると、人物のみならず動物の瞳も見つけてくれる。

Xperia PRO-I AF-ONにし、猫の瞳を追いかけてくれているの図。暗くても半開きでもちゃんと瞳を見つけてくれた

 で、だな。これは猫がお昼寝している籠の上に部屋の照明が入らないようブランケットを被せてあるという非常に暗い場所なんだが、きれいに撮れたのである。普通のイマドキのスマホだと「夜景」や「ナイト」モードになって「猫が動きませんように」と祈りつつ数秒待つようなシーンでも、素でこのクオリティーである。

 さすが1型センサーの高感度耐性といっていい。ちゃんと毛もあまりつぶれずに撮れているのは素晴らしいのだ。

Xperia PRO-I ISO6400まで上がりつつもこのクオリティー。さすがの1型センサーだ

 こういうとき、大きなセンサーの底力を見せてもらえる。またカメラ側が示したAF対象がこっちの狙いと違っていたときは画面上の撮りたいものをタップする。するとリアルタイムトラッキングAFが発動し、タップした対象にフォーカスを合わせ続けてくれる。このAFの賢さと速さはスマホカメラでトップといっていいと思う。

 そしてAFしながらの連写も最高で秒20コマ。被写体ブレしすぎないよう、シャッタースピード優先にして1/250秒で切ってみた。

Xperia PRO-I 黒猫と遊びつつ連写してみたの図
Xperia PRO-I

シャッタースピード1/250秒で連写した中の1枚。ちゃんと黒猫の目にピントが来ている

 1型の大型センサーを搭載しつつ、ソニーの強みであるリアルタイム瞳AFやリアルタイムトラッキングAF、そしてAFしまくりながらの高速連写といった本格的な撮影機能を搭載してきたのがXperia PRO-Iである、といっていいのだ。

本職カメラっぽい写りが魅力でもあり……

 ではその他のいろんな写真を。

 やっぱりこれは忘れちゃいけないよねってことでガスタンク。めちゃきれいな秋の晴れ空だったのだけど、その感じが良く出ている。F2.0で撮影。

Xperia PRO-I いつものガスタンク。天候に恵まれたこともあってか、青空やタンクのグラデーションがすごくきれいに出ている

 次は日没直後の空。日が沈んだばかりで空がきれいなグラデーションになっており、そこに建物や電線がシルエットで入っている感じにしたかったので、ちょっとマイナスの補正をかけて撮ってみた。

Xperia PRO-I 日没直後のオレンジから紺色へのグラデーションが素晴らしい

 被写体にぐっと寄って撮ると大型センサーならではのボケを楽しめる。

Xperia PRO-I 奉納された招き猫たち。リアルな光学的ボケが効いていて、滑らか

 最後はAI超解像ズームものを。今回、50mm相当の望遠カメラは使えないバージョンだったので、代わりに広角カメラのAI超解像ズームで50mm相当にしてみたのだが、写りが思ったよりよくて感心したのだった。これなら日常的に使えるわって感じ。

Xperia PRO-I 壁に架かっている画がいい感じだったので、AI超解像ズームを使って構図を作ってみた

 かくして、製品前のバージョンで使える機能に制約があったため「1型センサーの広角カメラ」に集中してレビューしてみたわけだけど、さすがCyber-shotやαシリーズのソニーという写り。よくあの小さなカメラユニットでここまでちゃんと撮れるものだと思う。明るくても暗くても単写でも連写でも人でも猫でも、カメラっぽいきちんとした写りをしてくれるのだ。

 多くのスマホカメラはカメラユニットを薄く小さく作らねばならない宿命を背負っているけど、iPhone 13 Proはそこを「コンピュテーショナルフォトグラフィー」で補い、見栄え重視の画作りをしてきた。Xperia PRO-Iはその逆で、スマホに搭載できるギリギリのサイズで大きなセンサーを搭載して、カメラユニット自体の性能を上げ、コンパクトデジタルカメラとしてのスマホカメラを目指した。

 ユニークなのは、Photography Proに2つの性格を持たせて、BASICモードでは一般的なスマホカメラ的な操作と写り、それ以外のモードではデジタルカメラ的な操作と写りと使い分けられるようにしたこと。それがまたよいのである。

モデル:長谷川実沙

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