スマートフォンの買い替えを検討した際、その販売価格に驚いた経験がある人は少なくないと思います。人気の「iPhone 13シリーズ」を始めとして、高機能/高性能な機種は税込みで10万円を超えることも珍しくありません。20万円を超える機種もちらほら見かけるようにもなりました。
端末の販売価格の高騰は、ユーザーの買い換え頻度にも影響を与えています。筆者自身も、少し前までは半年〜1年ごとに最新機種に買い換えていたいのですが、ここ1年ほどは積極的に買い換える意欲が失われてしまっています。その理由は、やはり“価格”にあります。
そんな中、KDDI(au)やNTTドコモが端末代金の支払いに「残価設定型分割払い」を用意しました。KDDIは「スマホトクするプログラム」、ドコモは「いつでもカエドキプログラム」とセットで利用することが前提です。
今回の「元ベテラン店員が教える『そこんとこ』」では、スマホを始めとする携帯電話端末に対する残価設定型分割払いの導入背景と、この販売方法に対する販売店のスタッフの声を紹介します。
2019年10月に電気通信事業法の一部が改正されるまで、携帯電話販売店では端末代金を大幅に値引くことが珍しくありませんでした。その原資は各携帯電話事業者(キャリア)から支給される「販売奨励金(インセンティブ)」に加えて、手続きを代行することで支払われる「販売手数料」の一部です。
特に他社からの乗りかえ(MNP)では販売奨励金の設定が大きかったこともあり、MNP契約なら10万円超のスマホであっても販売価格が“0円”まで大きく値引きされることもありました。機種変更であっても、各キャリアが行う月額料金の割引はあるため、それを加味すれば“割高感”は薄れます。
そんなこともあり、法改正までは割高感が有意に薄れる仕組みによって、最新の高機能/高性能モデルに買い換えようという意欲を喚起できていたのです。
法改正後、大手キャリアと一定条件を満たしたMVNO(※1)については、回線とひも付けて購入する端末に対する利益提供(≒値引き)が税別2万円までに制限されることになりました。月額料金は下降傾向となった一方で、スマホの割高感が一気に高まりました。
(※1)記事執筆時点ではインターネットイニシアティブ(IIJ)とオプテージが該当する(契約数が100万件を超えるMVNO)
割高感による買い控えをどうにかしたい――大手キャリアでは、法改正の前後において、スマホの価格高騰による買い控えへの対策として以下のような取り組みを行ってきました。
KDDIとドコモが提供している残価設定型ローンは、このような取り組みの延長線上にあります。
両社の残価設定型分割払いとセットになる購入補助プログラムには、諸条件に細かい違いがあります。ただし、以下のポイントは共通しています。
残価設定型ローンのメリットとデメリットを挙げてみると以下の通りです。
以前は「自分が使っていたスマホを手放すことに抵抗感がある」という人が少なくありませんでした。しかし、肌感覚として、最近は使っていたスマホを下取りや買い取りに出すことへの抵抗感が薄れた人も増えているように思えます。
この「肌感覚」は正しいのか――携帯電話販売店のスタッフに、下取りプログラムの利用状況や残価設定型分割払いに対するユーザーの反応について聞いてみましょう。
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