携帯電話の「残価設定型ローン」が登場 ユーザーや販売現場の反応は?:元ベテラン店員が教える「そこんとこ」(3/3 ページ)

» 2021年11月12日 14時00分 公開
[迎悟,ITmedia]
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新しい買い方は「おトク」だけど「複雑」?

 先述したKDDIのスマホトクするプログラムとドコモのいつでもカエドキプログラムは、残価設定型の分割払いと組み合わせる。定められた期間以降に端末を返却すれば、残りの分割支払金が免除される仕組みですが、残価を設定する都合で支払いがキレイな24等分にならないという問題があります(※2)。

(※2)残価設定型ではない分割払いでも、分割支払金の設定や割引の適用方法によっては1回目の支払い額が他の回次と異なる場合があります

 一方で、ソフトバンクは残価設定型の分割払いは用意しておらず、代わりに≪48回の分割払いと組み合わせる「新トクするサポート」(2021年9月24日以降の「トクするサポート+」)があります。こちらも、端末購入から25カ月目以降に端末を返却すれば残りの分割支払金が免除となるため、実質的な効果はスマホトクするプログラムやいつでもカエドキプログラムと同じです。

 純粋な下取りとは異なり、分割支払金の免除という形で「還元」を受けることになるこれらのプログラムについて、スタッフから話を聞いてみた所、以下のような声が挙がりました。

 正直にいうと、私の店では理解するのに時間を要するお客さまが多いですね……。残価設定型ローンは自動車の販売でも広く普及しているので、もっとすんなりと説明できると思っていたのですが……。

 私の担当しているキャリアでは、数年前から「下取りで分割支払金の免除」をやっているので、説明自体には慣れました。

 ただ、端末の買い換えサイクルは長くなっていて、おおむね3年に1回というペースのお客さまが増えています。そのせいもあって、新しい買い方を「初めて聞いた」というお客さまは、まだまだ多いですね。

 どうやら、残価設定型の分割払いや端末回収を前提とする残債免除プログラムの説明は、スタッフの想像以上に大変なようです。

 以下のように、サービス名称や内容が頻繁に変わることへの苦言もありました。

 下取り系の割引サービスって、数年前から存在するので説明自体は慣れはしました。

 しかし、プログラムの名前や内容が毎年のようにコロコロ変えるのはどうなんでしょうかねぇ……。そのせいでスタッフ自身が混乱することもゼロではありません。

 スタッフですらこうなるのですから、いくらおトクといっても、お客さまが理解するのはもっと大変だと思うんですよね……。

 ではユーザーは否定的な反応を示すのかというと、しっかりと理解できれば好意的に捉える傾向にあるようです。

 例えば、売場のプライスカードに「12万円(のスマホ)が6万円!」と書かれていれば、お客さまも「これは何?」と興味を持ってくださいます。仕組み自体は見方次第では複雑ですが、昔ほど下取りに抵抗がなくなってきている今なら、「2年後にスマホを返せばいい」と理解してもらえることが増えています。

 やはり、10万円前後の価格ともなると、売る側以上に買う側がビビりますよね。「スマホを2〜3年で買い換える」と考える人が多いことは、法改正前から大きく変わらないので、見方次第では仕組みは複雑ですが、まずは(購入補助プログラムの)メリットからお伝えしようと努めています。その成果もあってか、以前のプログラムと比べると現行のプログラムは好意的に捉えてくださるお客さまが増えています。

 このプログラムを契約すると、買ってから2年が近づくと「スマホ、どうしようかな……」と考えるはずです。「2年たったら、うち(この店)にまた来てくださいね!」という声がけもしやすくなりました。

 一方で、全てのユーザーが購入補助プログラムを好意的に捉えるとは限りません。こんな声もありました。

 「2年後に買い替えるのが一番分かりやすくおトクなのは理解できた。でも、一番おトクなタイミングで買い換えられるかどうか不安だ」という声を頂くこともあります。要するに残債免除を一番大きく受けられるタイミングで買い換えことを覚えていられないということです。

 まめに「スマホ買い換え」とかスケジューラーやカレンダーに予定を入れる人なんて、そんなにいないでしょうしね……。

 買い替えタイミングに欲しい機種があるとは限りません。発売されていたとしても、希望する容量やカラーをタイミングよく買えるとも限りません。

 直近でいえば、iPhone 13シリーズは長らく特定のモデルや容量において欠品が続いています。そのせいか、やっと入荷して購入されたお客さまから「2年後にタイミングよく(欲しい機種を)買えるの?」という声をいただくことが多いです。

 残価設定型の分割払いや現行の端末購入プログラムをあえて“ネガティブ”に考えると、高いスマホを“買わせる”ための仕組みであるとも見なせます。ユーザーの立場からすると「言われた通りに買えばおトクなのは分かる」一方で、「ちょうどいいタイミングで買い換えができなければ損をしてしまう」という印象を持つのも当たり前です。

 筆者自身の経験を思い出すと、端末代金の「分割払い」が導入された当初も同じような状況でした。早めに機種変更(買い増し)をすると、新しい機種に買い替えても、今の端末の代金の支払いは続きます。分割払い(個品割賦)の仕組みを知っていれば当然といえば当然なのですが、携帯電話の買い方としては“新しい”ものだったので、お客さまに理解してもらうのに難儀した記憶があります。

 最近の購入補助プログラムは指定回数の分割払いでの購入が前提で、その上に端末返却もあります。今後、このプログラムは当たり前になっていくでしょうが、ユーザーに分かりやすいものかというと、そうとは言いきれない状況はしばらく続きそうです。


 大手キャリアの分割払いは、残価設定型を含めて「購入したものの所有権は契約者(ユーザー)」という契約となっています。しかし、端末購入プログラムは端末を返却することで特典(分割支払金の免除)を受けられるという組み立てです。

 そんなこともあり、ある店舗のスタッフがふと話した「新しい電話機を売るというよりも、有償でレンタルさせる仕組みのようだ」という言葉が印象的でした。所有権こそユーザーにあれど、それを返上することを前提にしているのは、事実上のレンタルといえます。

 上手に利用すれば、確実におトクなのは間違いありません。しかし、普通の分割払いと比べると定着するには時間が掛かりそうです。

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