携帯電話の「残価設定型ローン」が登場 ユーザーや販売現場の反応は?元ベテラン店員が教える「そこんとこ」(2/3 ページ)

» 2021年11月12日 14時00分 公開
[迎悟ITmedia]

ユーザーの下取りへの抵抗感は「確実に薄れている」

 大手キャリアよる端末の下取りサービスは、2012年にソフトバンクがスタートした「下取りプログラム」がある種の起源です。

 その後、KDDIやドコモも下取りプログラムを開始しました。しかし、プログラムの開始当時、店員としてスマホを売っていた筆者が下取りプログラムを積極的に使うユーザーに出会うことはめったにありませんでした

 下取りを使わない一番大きな理由は、端末を下取りに出さなくても、十分に端末を安く買えたからです。端末の販売価格自体が現在ほど高くなかったことと、多くの割引キャンペーンが実施されていたので、積極的に下取り(あるいは買い取り)に出す理由がなかったのです。

 加えて、当時のスマホは本体の内蔵ストレージやバッテリーの容量が少なかったので、「音楽(動画)プレーヤー」や「予備のスマホ」として古いスマホを使い続けたいというニーズもありました。

端末 以前は古いスマホを「音楽(動画)プレーヤー」や「予備のスマホ」として取っておく人が少なくありませんでした(写真はイメージです)

 しかし、先述の通り、最近の高機能/高性能スマホの販売価格は10万円を超えることが珍しくありません。スタッフに話を聞くと、下取りを併用する端末購入プログラムを含めて下取りサービスが充実したこともあり、「下取りを出せば安く買える」と下取りの利用をユーザー側から申し出ることが増えたそうです。

 下取りを利用するユーザーが増えた理由について、スタッフはこのように話していました。

 欲しい機種の価格が高くなったこともあり、下取りで数万円の割引が受けられるとあれば「(下取りプログラムを)使わないともったいない」と考えるお客さまは多いようです。

 最近は、スマホで音楽を聴くのもストリーミングサービスが主流です。スマホにデータが無くても、データ通信さえできれば音楽を楽しめるわけです。

 以前は音楽や動画を楽しむために古いスマホを使う人も多かったですけど、(複数の回線を契約していなければ)古いスマホでは単体で通信できないので、ストリーミングサービスとの併用は困難です。以前のような「iPod的な使い方」は不向きになってきています

 加えて、新しい機種はバッテリーの持ちが良くなっているので、わざわざ2台持つメリットが余計に薄れています。だからこそ「下取りに出して本体代金を下げよう」と考える人も増えているんでしょうね。

 以前だと「家族(主に子ども)に“お下がり”として使わせる」という理由で古いスマホの下取りを断るお客さまも少なからずいらっしゃいました。

 しかし、最近は最近は2〜3万円でも必要十分な機能を備える機種もあります。使っていたスマホを家族に渡すのではなく、スペックに固執しなければ、新品のスマホを買って渡すことも難しいというほどではありません。

 ある意味で、古いスマホを「お下がり」として渡すことが少なくなったからこそ、下取りニーズが高まっているのかもしれません。

 ある意味で、ユーザーの考え方が筆者が販売スタッフをやっていた頃と“真逆”になっているんだと感じさせる回答でした。スマホの「余生」の過ごし方の変化が、下取りへの抵抗感を薄れさせているようです。

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