今、スマホカメラの高画質を支えているものといえば「コンピュテーショナルフォトグラフィー」であり、「コンピュテーショナルフォトグラフィー」の雄といえば、Googleである。
そのGoogleがプロセッサを独自開発し(Google Tensor)、「最先端のオンデバイスAI」で「最高水準のコンピュータ写真処理」(とWebサイトに書いてある)を可能にしたのだから、Appleが独自開発のA15 Bionicを採用しているのを思い出し、その成果に期待が膨らむというものだ。
で、いざ使って見ると、普通にいい。特に派手な色だとか派手ないHDRだとか凝ったセッティングとかなくて、あまり制約もなくて普通に撮って普通にいいのである。
それを担うのがAIを駆使した「コンピュテーショナルフォトグラフィー」といっていいわけだが、普通に撮って普通にいいよね、では話にならないので、まずはカメラの話から。本体に黒い帯がマスクの様に入っていてそこにカメラが3つ並んでいる。
向かって一番左が広角カメラ。これは50MP(5000万画素)で実際に撮影すると1250万画素相当になる。4画素を混合して1つの画素にしているからだ。レンズは35mm判換算で24mm相当。絞り値はF1.85。光学式手ブレ補正付きだ。
真ん中が超広角カメラ。こちらは12MP(1200万画素)でレンズは35mm判換算で16mm相当。絞り値はF2.2だ。ポピュラーな超広角カメラだ。
一番右の開口部が四角いのが4倍の望遠カメラ。35mm判換算で104mm(24mmの4倍なら96mmになるはずだが、写真に記録される撮影情報には104mmとなっている)。画素数は48MP(4800万画素)だが撮影した画像は1250万画素となる。広角カメラの仕様に合わせたのだろう。レンズはF3.5とちょっと暗めだ。センサーサイズは1/2型と望遠カメラとしてはちょっと大きめだ。こちらも光学式手ブレ補正を積んでいる。
では、いつものガスタンクでそれぞれ撮ってみる。カメラアプリは電源キーのダブルクリックですぐ起動する。これはよい。そして画面がこちら。右のズーム倍率欄には、0.7x、1x、2x、4xとある。2xは1xのデジタルズームだ。
そして、最高で20xまで倍率を上げられる。今までのスマホカメラは最高倍率まで上げると「デジタルズームで無理やりデカくしました」感漂う、要するにちょっと日常使いにはできない不自然な写りになるのが一般的だった。だから期待していなかったのだけど、試しに撮ってみたら「なにこれ!」、これなら日常的に使えるじゃん。
ディテールの不自然さもないし、滑らかに描写されているし、細いワイヤーもちゃんと撮れている。元の画素数が4800万画素と多いとはいえ、これはびっくり。
あまりに驚いたので、遠くに見える富士山を撮ってみた。さすがに遠いので少しもやっとしているけれども、ここまで写るのだ。なにこれ。
びっくりしたのでもう1つ。駅のロータリーにあった東京都稲城市のイメージキャラクター「稲城なしのすけ」。でもロータリーの中なので4xでもちょっと遠い。
そこで20xズームである。デジタルズーム特有の不自然さもほとんどなくてきれいなんですけど。
シーンによってはうまく補完できなくて、ディテールが乱れたりつぶれたりすることもあるけど、条件がいいと、ここまできれいに撮れるのだ。まさか望遠に強いカメラだったとは!
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