―― そういった初期設定は、あまりスマートフォンに詳しくない親側のハードルになっていた印象もあります。これをドコモショップでやってもらえるというのは、販売を促進する上でも大きいのではないでしょうか。
石田氏 最初のバージョンはMDMで動かしていましたが、(VPNに切り替えた)バージョン2、バージョン3では、プロファイルを更新してもらうのが難しくなっていました。OSにプロファイルを入れるのが結構面倒だからです。TONE SIM 5.0では、それを1回やれば済むようにしました。さらに、その1回をドコモショップでやってもらえる。この構造はすごくいいですね。
―― オプション扱いになっている「トーンファミリー」も、ドコモショップで契約すれば初期設定をやってもらえると伺いました。
石田氏 はい。トーンファミリーの申し込みや開通確認も、全てドコモショップでやっています。
―― iPhoneを店頭でセット販売できるようになりましたが、一般の人にとって、分かりやすくなった気がします。
石田氏 WebサイトはiPhoneかAndroidかをまず選ぶ訴求の仕方になっています。Androidをクリックするとカメラのキタムラのページ、iPhoneをクリックするとトーンモバイル for docomoのページに飛ぶ、シンプルな訴求の仕方ができるようになりました。(CMなどの)空中戦をやる場合を考えると、SIMだけの販売は分かりづらくなってしまいますからね。
ちなみに、TONE for iPhoneの場合、ドコモで購入したiPhoneはドコモの補償サービスに入れますが、中古などの持ち込んだiPhoneでもトーンモバイル for docomoの補償を受けることができます。そのときはオンラインに誘導するフローになっていますが、どちらのiPhoneを使っても補償を受けられることになります。
―― 一方で、先ほどお話しされていたように、トーンモバイルとしてのメインは、Androidだったと思います。エコノミーMVNOだとAndroidはドコモ端末になってしまいますが、今後はどうされていくのでしょうか。
石田氏 (選択肢は)2つしかありません。ドコモ端末でわれわれの技術を動くようにするか、われわれの端末を扱ってもらうかです。それに関しては、今、いろいろな動きをしています。ただ、やはりハードウェアまで一緒に開発しないとなかなか難しいので、ドコモ端末で動くようにする場合、どれぐらい時間がかかるのかという問題がありあす。何らかの形で端末を扱ってもらえるのが近道だと思っています。
―― なるほど。まだ次の展開があるということですね。ちなみに、TONE for iPhone導入にあたり、もともとのTONE SIM(for iPhone)から料金を値下げしています。この狙いを教えてください。
石田氏 基本的には、Android側のサービスにスペックを合わせました。Androidは端末側でいろいろなことができ、サポートコストの低減がしやすかった(ため、料金が安かった)のですが、iPhoneでも同じようなことができるのではないかと検討してきました。前はカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の子会社だったため、部署間取引などもあってどうしてもコストを下げにくかったのですが、フリービットは垂直統合でコストのコントロールもしやすくなっています。エコノミーMVNOで規模が大きくなるということもあり、Androidに合わせてもいけるのではないかと判断しました。
―― 卸の基本料や接続料が大きく下がりましたが、この影響もありますか。
石田氏 2021年の値下げが結構大きく、このおかげでAndroidのサービスにも音声通話を標準でつけられるようになりました。そういうところも含めての(TONE for iPhoneの)展開です。
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