「最初は半信半疑だった」 フリービット石田社長に聞く「トーンモバイル for docomo」の狙いMVNOに聞く(3/3 ページ)

» 2022年01月14日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
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OCN モバイル ONEともすみ分けを図れる

―― 子ども用のサービスを充実させていますが、子どもが成長すると見守りサービス自体が必要なくなります。その場合、トーンモバイルからドコモに移ってしまうこともあると思いますが、この点はどうお考えでしょうか。

石田氏 お子さんで長くトーンモバイルを使っている方を見ると、最初はフルで見守りサービスを使い、高校生になるとだんだんと緩めていきます。そのための「ゆるやか見守りモード」というものもあり、これにすると、例えば位置情報も「○○市にいる」といった程度のしか分からなくなります。親が強力な見守りにしようとしても、逆に子どもの許可が必要になります。強度を下げていけば、フルスペックのスマホとして使っていただけるということです。初日だったということもありますが(※インタビューはサービス開始1日後の12月23日に実施した)、今も半分強はターゲットのお子さんですが、それ以外の方も半分ほどいます。

 そういうようなこと(ドコモ本体に移る)はあるかもしれませんが、いろいろな条項を見ると、えげつない巻き取りのようなことはしないのではないでしょうか。また、ユーザーがシニアになれば、逆のことも起きます。

―― シニア向けはドコモにもサービスがあり、エコノミーMVNOにもOCN モバイル ONEがあります。こことのバッティングはどうお考えでしょうか。

石田氏 既にスマホを使われている方はターゲットになりません。3Gからの切り替えだったりは(需要が)あるんじゃないでしょうか。OCN モバイル ONEとトーンモバイルのサービスでは端末の部分などで違いがあるので、もしシニア向けをやるのであれば違う角度からやると思います。シニア向けのサービスは、サポートも含めて時間がかかります。だからこそ、作り込んだサービスにしておかなければ、電話をいただいても何が起こっているのかが分かりません。トーンモバイルの端末は、そういうときでも遠隔サポートができ、サポートセンターに連絡があったときにはいろいろなことをつかめる体制ができています。8年間のノウハウは大きいですね。

―― 逆に、TONE for iPhoneをオンラインや他の店舗で販売する計画はあるのでしょうか。

石田氏 今のところ、トーンモバイル for docomo専用と考えています。エコノミーMVNOであれば、iPhoneをセット販売でき、割賦も使えるからで、ユーザー体験はそこが一番優れています。そのため、今のところ他でやる予定はありません。仮にオンラインでやるとしても、ドコモと連携できるような形になります。これは、エコノミーMVNOがそういう規制になっているからというのではなく、戦略上そうするという話です。

トラフィックが急激に伸びても対処できる

―― 店舗数が一気に増えると、借りている帯域を圧迫するリスクもあると思います。ここは増強するのでしょうか。

石田氏 フリービットはMVNEとしてたくさんのお客さまを抱えています。月間4件、5件ほどの目的特化型MVNOも増えています。多くのMVNOに対して提供するノウハウを持っているため、トラフィックが急激に伸びても対処できるバッファーがあります。肉の卸をやっている焼肉屋が安くて迅速に提供できるような感じですね(笑)。需要予測まで含めて考えると、同じことを(エコノミーMVNOの対象になっていない)二次以降のMVNOがやるのは難しいのではないでしょうか。もちろん、コアネットワークやドコモの回線はかなり増強しています。相当なことがない限り、そこが何かなることはありません。

―― 今後は、TONE for iPhoneで5Gを提供していくお考えはありますか。発表会などでも、5Gというキーワードがよく出てくる印象があります。

石田氏 あると思います。フリービット本体でも中期経営計画を発表しましたが、ベースは全て5Gの戦略です。そこはいろいろと準備をしています。

―― 現状だとNSA(ノンスタンドアロン)での接続になりますが、それでもやるのでしょうか。

石田氏 NSAはあまり意味がなく、SA(スタンドアロン)を想定した形での展開が必要になります。

―― ただ、SAでどのようにMVNOがサービスをするかは、まだ確定していません。

石田氏 MVNO側がスライスの使い方を提案できるかどうか、だと思います。われわれはもともとスライスのような考え方を交換機に入れ、アプリごとに異なるスライスを作っていました。例えば、IP電話だけは(通話品質を確保するために)別のスライスを通すというようなことです。SAで端末との間でスライシングができるのは大きいので、そういった提案はもっとできると思っています。

取材を終えて:2300店舗が増えるインパクト、Android向けサービスにも期待

 今のエコノミーMVNOはあくまで回線の契約が中心で、端末の販売は行っていない。トーンモバイル for docomoがiPhone専用になっているのは、そのためだ。ドコモでもAndroid端末は販売しているが、トーンモバイル側がカスタマイズできない以上、見守りサービスをその上で展開するのは難しかったという。一方で、石田氏のコメントの端々からは、Androidでのサービス展開も狙っていることがうかがえた。ドコモはMVNOからの要望があれば柔軟に協議するとしているため、近い将来、トーンモバイル for docomoのサービスが拡大する可能性はありそうだ。

 端末まで含めた垂直統合がトーンモバイルの強みであることを考えると、現状のトーンモバイル for docomoは同社のサービスを部分的に提供しているにすぎず、過渡期のようにも見える。とはいえ、一気に2300店舗が増えるインパクトは非常に大きい。ドコモショップで取り扱うことで知名度が上がり、今までトーンモバイルを知らなかったユーザーにもリーチできるようになるからだ。じわりとユーザー数を増やしてきたトーンモバイルだが、トーンモバイル for docomoの開始で、そのペースを一気に上げることになりそうだ。

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