―― ある意味MVNO流の使い放題プランだと思いますが、MNOの使い放題プランは意識されたのでしょうか。
福留氏 5G時代になると、徐々に使い放題型のサービスにシフトしていきます。その試金石として、われわれもこういった形のサービスを拡充しています。
パケット放題Plusを出したときも、事前にトライアルを重ね、1.5Mbpsでほとんどのアプリが使えることを確認しました。速度が遅くなってくると、アプリはじわじわ動くのではなく、止まってしまう。そういったこともトライアルの中で分かってきました。
唯一、ZoomのようなWeb会議やアプリのダウンロードは満足度が8割と低くなっていましたが、それでもプレミアムの3Mbpsあれば十分だと思っています。
―― 32kbpsを撤廃するというのは難しいのでしょうか。
福留氏 お昼はやはり難しいですね。帯域を借りてビジネスしている以上、どうしても通信が混雑する時間帯は、他の時間に比べて遅くなります。この混み具合を解決できるほど帯域を増強すると、価格に大きな影響が出てしまいます。
―― コロナ禍でテレワークが増え、以前よりはピークの山を抑えられているというMVMOもいます。mineoはどうですか。
福留氏 トラフィックのトレンド自体は変わってないですね。
―― 次にパスケットについて伺いたいのですが、やはりデータ容量を余らせてしまう人は多いのでしょうか。
福留氏 狙いでいうと、旅行先や出張先でWi-Fiが使えない場合など、もしもの時に備えて自分のために余ったパケットをためておきたいという声をお客さまから多数ちょうだいしていました。これまでは、使い切れずに余ったデータ容量は翌月末に、自動で消失していました。こういったサービスを提供することで、その期限が無期限になり、安心してご利用いただけるようになります。
mineoには「アイデアファーム」という、ファンの皆さまからアイデアを募るサイトがありますが、繰り越しに関しては、ここで多数の声をいただいていました。「マイタンク」だったり「個人タンク」だったり「パケット積み立て」だったりと、言い方はさまざまですが、声が多かったのは事実です。
―― 繰り越しというと、無料でできるイメージが強いのですが、有料になったのはなぜでしょうか。
福留氏 これもアンケートを事前に取っています。継続利用につながるサービスとしてアンケートを取ったところ、無期限繰り越しの要望が最も高く出ていました。サービスを実現してほしいという声の数では、音声通話のかけ放題を超えています。加入意向も半数に及んでいました。有料の幅にもよると思いますが、一定程度の方には加入していただけると思っています。
なぜ110円なのかは、マイピタの価格と関係があります。マイピタでは4つの容量帯――1GB、5GB、10GB、20GBをご提供していますが、それぞれの容量の価格差は220円か440円です。今回のサービスは、もしものときに備えたいがアップセル(上位プランへの移行)をするほどではないというお客さまがターゲットになります。そのため、料金はアップセルの最低額(220円)を下回る110円に設定しています。
―― 繰り越せるのが10PBというのはなぜでしょうか。無制限でもよかったと思いますが、ウケ狙いでしょうか(笑)。
福留氏 (笑)。実質的には無制限ですが、システム的にフタを設定しなければいけないことがあり、“ペタ”という表現も踏まえて決定しました。
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