総務省がキャリアごとに異なる対応周波数問題を議論――果たして、Androidメーカーの対応は?石川温のスマホ業界新聞

» 2022年04月10日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 総務省は4月1日、「競争ルールの検証に関するワーキングループ」第27回会合を開催した。今回、携帯電話端末における対応周波数帯の制限について、総務省による調査結果が公表された。それによれば、イギリス、フランス、ドイツ、韓国などでは各携帯電話事業者の周波数に対応したキャリア調達のスマートフォンが販売されているものの、アメリカにおいては、他キャリアのBandに対応しない端末が普通に販売されているとのことだった。

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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年4月2日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。


 総務省としては、キャリアが調達するスマートフォンにおいて、Bandが他キャリアの周波数帯に対応していないとなれば、SIMフリーだったとしても、キャリアに乗り換えしにくい、いわゆるBandロックがかかっている状態ではないか、と問題視している。乗り換え促進するため「キャリアが調達するスマートフォンは他キャリアのBandにも対応するのが理想」というスタンスだ。

 ただ、メーカーの関係者に話を聞くと「すべてのキャリアの周波数帯に対応するのは部材コスト面、さらには検証作業にもお金や時間がかかり現実的ではない」という。

 日本で販売されているiPhoneはすべてのキャリアに対応しているが「iPhoneは製造する台数が国内のAndroidに比べて圧倒的に違う。すべての周波数に対応するコストを吸収できるだけの台数を作っている」(メーカー関係者)というのだ。

 キャリアが調達するスマートフォンではなく、ソニーやシャープといった国内メーカーのSIMフリーAndroidスマートフォンをチェックしてみても、国内キャリアが所有するすべてのBandに対応しているというわけではない。

 グーグルは、Pixelシリーズにおいて5Gに対応しても、NTTドコモが持つ「n79」を一切無視している。だからこそ、KDDIとソフトバンクは調達しても、NTTドコモはPixel 6を調達したくてもできないという状態にある。グーグルはNTTドコモに調達してもらえる可能性があるにも関わらず、なぜかn79に対応しないという、謎のスタンスを貫いている。

これが「国内キャリアの周波数帯にすべて対応しろ」なんて話になると、キャリアは海外メーカーの端末を調達をできなくなり、グーグルを筆頭に海外メーカーが日本から撤退するなんてことにもなりかねない。

 さらに国内、海外メーカーだけでなく、キャリア、特に自分たちで持っている周波数帯の種類が少ない楽天モバイルにとっては厄介なことになるのではないか。余計なBandにも対応せざるを得なくなり、それだけで、自前で調達するスマートフォンのコストが高騰しかねない。

 総務省は、いったいどこまで、業界やユーザーにとって迷惑なお節介を続けるのだろうか。

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