4月14日、楽天グループの創立25周年レセプションを取材してきた。終了後、三木谷浩史会長による記者会見が開催された。三木谷会長は現在、楽天グループ全体を見ているものの、楽天市場や金融関連は別の幹部に権限委譲しており、三木谷会長自身はモバイル事業に注力しているとのことだった。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年4月16日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
せっかくなので「この25年間、インターネットを中心に企業活動をしてきたが、ネットの世界は自由に動き回れたと思う。一方で通信業界は規制だらけといえる。いま、不満を感じている通信における規制はなにか」という質問をぶつけてみた。
ワンストップではないMNP制度については、15日にケータイWatchで公開されたコラムを参照していただくとして、それとは別に三木谷会長はルーラルエリアについて苦言を呈していた。
「都市部を除く、人口が密集していない場所については、国民から見ると、四重の投資になっている(筆者注:4キャリアがそれぞれ別々に基地局を建設している)。
協力体制をしっかりやることで、全体的なコストがダウンして、それがユーザーに反映されるのではないか。
これに関しては海外では政府が指導しているが、そういった考えは日本にはない。そこはちょっと残念かなと。4社の競争でもそういった配慮があってもいいかなと思う」(三木谷会長)。
要は日本も政府主導でインフラシェアリングを推進していくべきだというのだ。
ただ、インフラシェアリングに関しては、2022年3月29日に総務省から出された「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」において「5Gの整備」として、「補助金の要件によってインフラシェアリングを推進」とあり、複数事業者による共同設備の場合、国庫補助率のかさあげ(補助率1/2から2/3)、補助対象者にインフラシェアリング事業者を追加、基地局のインフラシェアリングを可能とする技術の開発を2022年までに実施(複数事業者の送信機をひとつの無線装置に集約する技術)、携帯電話事業者とインフラシェアリング事業者との間におけるルール整備に向け2022年度中にガイドラインを改正するなど準備が着々と進みつつある。
この計画が出る直前、NTTドコモは同社が保有する通信鉄塔、最大6002基を最大1062億円でJTOWERに譲渡し、NTTドコモがJTOWERから同鉄塔を借り受ける契約を交わしている。
もちろん、JTOWERの所有となる鉄塔は他キャリアも利用可能になる見込みだ。
実に話がうまくまとまっている感が否めない。
楽天グループの創立25周年レセプションには、岸田文雄内閣総理大臣が挨拶に訪れ、安倍晋三元首相、菅義偉前首相もビデオメッセージを寄せるなど、三木谷会長と政治の太いパイプを感じさせた。
楽天モバイルはインフラシェアリングとプラチナバンドを武器に、結構早いタイミングで、そこそこ使える人口カバー率を実現してしまうのかも知れない。
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