転売対策で端末の箱に名前を書く点は、筆者を含め不快に感じる方は多いだろう。特価品端末でも購入する方の大多数は、転売を目的としない一般の利用者だと考える。一部の転売を目的とする人たちに多くの端末を独占され、一般の利用者に行きたわらない点は問題だ。しかし、その問題を解消するために一般の利用者に不便を強いるのは、消費者の目線から考えていかがなものかと感じる。
近年では使用しなくなった端末を手放す手段として、メルカリをはじめとしたフリマアプリが利用されている。手軽に匿名で商品を取引できる点は利点だが、記名があることで出品しにくくなる。名前や店舗印といった個人名や生活圏の情報が書かれたものを出品したら、最悪の場合、個人情報の特定にもつながり、匿名性が損なわれてしまう。
過度な転売をする側も問題があると思うが、転売できる環境としているキャリアにも問題があると感じる。そもそもブランド品であるiPhoneを契約なしの購入ながら、Apple Storeの半額以下の価格で購入できてしまう方がおかしいのだ。このような状況を作り出しておいて「転売対策」と言い出すキャリアには疑問を感じる。
近年ではオンライン上での顧客情報のひも付けなどによって、「どんな端末をいつ誰がどのような施策を使って購入したか」という点は容易に確認できる。加えて、ドコモを含めた4キャリアは、転売の温床ともいえる特価端末の販売台数を制限しており、この措置を徹底すれば、端末の大量購入と転売は防げるはずだ。
ドコモの場合は上記の対策に加え、「端末に名前を記名させる対応」を追加で取っている。上記の通り、顧客の利用実績を確実にチェックし、台数や購入期間に制限を設ければ転売は防げるはずで、端末の箱に記名したりすることは何度も言う通り、転売対策において大きな効果はないと考える。むしろ利用者に対してマイナスのイメージを与えかねない。
筆者はどうしてもこの対応が、他社に比べて「うちは転売対策に力を入れています」という総務省へのアピールにしか感じない。小学校の教科書のように端末の箱に名前を記名させる行為を消費者に求める前に、ドコモをはじめとした大手キャリアは、販売代理店、消費者に対して転売対策の対応を見直すべきことがあるのではないかと感じる。
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