ほとんどのスマートフォンは、周囲温度がセ氏5〜35度の範囲で正常に動作するように作られています。しかし、2022年の夏はそれを超える暑い日が続いています。日本気象協会が、「酷暑日」という新語を作ったほどです。
気温の高い日に、体にたまった熱を放出できないのと同じように、スマホも高温下では動作によって生じた熱を排出することができません。そのため、スマホが熱中症になってしまうのです。
とはいえ、使わないわけにはいきません。そこで、今回は熱を持ってしまったスマホを“安全に”“使えるレベル”まで冷やすグッズを紹介します。
Amazonで「スマホ」「冷やす」というワードを使って検索すると、実にさまざまなスマホ冷却グッズがヒットします。
最もお手軽なのは、スマホの裏面に貼り付けるだけで熱を吸収するシートタイプの冷却グッズでしょう。薄型であれば、ケースと併用することもできます。
一般的な冷凍庫で凍らせてから使う保冷剤は、急激に温度を下げ、スマホ内部に結露を生じさせ、スマホの部品を劣化・破損させてしまう恐れがありますが、スマホ用に作られた冷却剤なら緩やかに温度を下げるので安心です。
ヒートシンクで強制的に熱を放出する方法もあります。この場合、ヒートシンクに効率的に熱を伝える熱伝導性の高い接着シートが必要です。セットになっていれば、手軽に導入できそうです。
スマホクーラーやスマホファンは、電気の力で強制的にスマホの熱を除去します。ペルチェ素子で冷却する、空気を取り込んで排出する、などの方法によります。水冷式は、冷却水を循環させることで、スマホの熱を排出します。ただしこれは持ち運びには適さないでしょう。
数あるスマホ冷却グッズから、「シートタイプ」「冷却剤タイプ」「クーラータイプ」をそれぞれ1つずつ購入し、本当に効果があるのか試しました。
テストには、筆者が使用している「Galaxy Note 10+」を使用。気温セ氏35度の晴天の屋外で、約5分間録画をしてスマホ内部の温度を強制的に上げ、その後、それぞれの冷却グッズを5分から10分ほど使い、どれだけ効果があったかを測りました(撮影などの関係で、経過時間にはそれぞれ誤差があります)。
測定には、非接触型の赤外線放射温度計とスマホアプリ「スマホ温度計測バッテリー℃」を使用しました。
一番手は、シートタイプのSimplism「スマ冷え」です。
スマホケースと併用できるほど薄い0.9mmで、スマホの温度を4.3度下げるとのこと。共同技研科学の蓄熱シート「FREY」を採用しており、これがスマホの熱を吸着して、空気中に放出します。
炎天下、写真撮影や3分56秒ほどの動画を撮影し続けた結果、表面温度はセ氏49.7度に上がりました。
触ってみて、特に熱を持っていると感じたカメラ横にスマ冷を貼付。
8分後、表面の温度はセ氏42.9度に、内部の温度はセ氏40.9度にまで下がりました。 表面の温度はかなり下がった印象です。
次は、保冷剤タイプの冷却グッズ、SixGrab「冷やスマ [スマートフォン用 発熱対策専用保冷剤]」です。
ケーキなどを購入するときについてくる保冷剤のようなサイズ、触り心地ですが、こちらはセ氏40度で溶け始めるという特性を持っています。氷が固体から液体になるときに周囲の熱を奪うように、冷やスマも固体(といってもゲル状ですが)から液体に変わるときに熱を吸収します。
凍らせたり、冷蔵庫に入れたりして冷やスマの温度を下げてしまうと、温度差が激しくなってしまうので、冷房の効いた部屋に放置したものを使います。なお、室温はセ氏25〜26度でした。
ムダに6分19秒も動画を撮影し、表面温度はセ氏44.4度に。アプリではセ氏43.4度にまで上がっています。
この状態で、冷やスマをゴムバンドでしっかりと密着させます。
取り付けてから7分後、表面温度はセ氏33.3度、内部の温度はセ氏34.7度にまで下がりました。
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