キャリアのでんきサービスに乗り換える価値はある? 「ドコモでんき」「auでんき」「ソフトバンクでんき」の違い(4/4 ページ)

» 2022年08月20日 06時00分 公開
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スマートフォン、インターネットが割引されるおうちでんき

 ソフトバンク(グループ)が一般家庭向けに販売している電気サービスには「おうちでんき」「くらしでんき」「自然でんき」の3つがあります。このうちソフトバンクとY!mobileの携帯電話、SoftBank光とのセット割引に関係してくるのがおうちでんきです。

 おうちでんきはSBパワーを新電力、ソフトバンクがSBパワーの取次という構図で販売されています。対応エリアに関してですが、離島、そして九州電力エリアと北陸電力は対応していません(ただし九州電力エリア、北陸電力エリアに関しては諸手続きをすれば、九州電力、北陸電力契約中のままでソフトバンク、Y!mobileの携帯電話、SoftBank光とのセット割引を受けることは可能)。

 電気料金の基本料金部分は地域の電力会社と同じですが、使った分だけ料金が上がっていく電力量料金(従量料金)が地域の電力会社よりも1%安く設定されています。そして、おうちでんきにはドコモでんき、auでんきにはない、携帯電話とSoftBank光の通信費が安くなるセット割引があります。

 ソフトバンク、SoftBank 光、SoftBank Airと「おうち割 でんきセット(M)」、Y!mobileの場合だと、携帯電話、SoftBank光、SoftBankAirと「おうち割 でんきセット(A)」を組むと1回線につき通信費が2年間にわたって合計10回線まで毎月110円割引を受けることが可能です(3年目以降は毎月55円割引)。

 このおうち割 でんきセット(M)(A)は、ソフトバンクの「おうち割 光セット」「新みんな家族割」、Y!mobileの「おうち割 光セット(A)」または「家族割引サービス」とも併用可能なので、家族でまとめている、家のインターネットがSoftBank光にしている方にとっては大変お得です。

新電力 おうちでんきの割引など

 さらに、おうちでんきには、「水漏れ/配管のつまり」「鍵の紛失」「ガラスのヒビ/破損」などのトラブルに対する出張料と作業料(30分以内で、部品交換が伴わない作業)が無料になる「おうちレスキュー」という特典も付いてきます(東京電力エリア以外は無料になるのは2年間のみ)。

 付随サービスが充実しているおうちでんきですが、ドコモでんき、auでんきにはない注意点がおうちでんきにはあります。切り替え工事が不要な点は、ドコモでんき、auでんきと同じですが、おうちでんきは1年契約(自動更新)が存在し、解約の際には550円の解約事務手数料がかかるという点では注意が必要です。



 以上、ドコモでんき、auでんき、おうちでんきについて特徴をまとめました。携帯電話事業者が提供している電気サービス以外にも、新電力あるいは、従来の地域の電力会社からも、多種多様な料金プランが登場しています。ただし、料金プランを切り替えれば必ず電気料金が安くなる、というわけではありません。

 一時期、JPEX(日本卸電力取引所)で取引された価格に連動して、電気料金が変動する「市場連動型プラン」を契約していたがために、電気料金が10倍になってしまったというニュースも目にされた方もいると思います。また、一般的に「新電力に切り替えない方が良い」というケースも存在します。一例を挙げると、オール電化住宅に住んでいる方です。電力自由化前、特に東日本大震災前からサービス提供されているオール電化住宅のプランは割安な料金設定がされており、新電力の料金プランに切り替えると電気料金がかえって高くなるといわれています。

 また、新電力のほとんどは、自前の発電設備を備えていません。顧客に提供する電力は発電事業者から供給を受けるか、JPEX(日本卸電力取引所)から調達しています。ドコモでんきなどの新電力は工事不要で切り替えが可能ですが、これは新電力のほとんどは発電設備を有していないからです。しかし、昨今の原油高、液化天然ガス(LNG)の価格高騰を受け、JPEX(日本卸電力取引所)から調達している電力量が多い新電力ほど、苦しい経営状況に陥り、新規加入者受付終了や事業から撤退しているのが現実です。こういった状況を踏まえ、「新電力に切り替えるかどうか」を見極めるのも重要になってきています。

著者プロフィール

吉田裕紀

吉田裕紀

 長野県出身。2009年「株式会社ディ・ポップス」に入社。NTTドコモ、au、ソフトバンクなどさまざまな通信キャリアを取り扱う携帯ショップ「TOP1」やY!mobileショップにて11年間携帯電話の販売に従事。

 現在はコンテンツマーケティング部署に所属。現場の経験を生かし、「携帯電話料金プランについて分かりやすい記事を書き、分かりやすく情報を発信する」をモットーに、日々売り場からの声や、最新の携帯電話に関する情報を収集し、記事の執筆にあたっている。

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