2022年も9月〜10月に発表されると予想されている「iPhone 14(仮)」。既にネット上ではさまざまな情報が飛び交っています。もちろん、こうした情報をAppleが公式に認めることはないので、全ては予想や臆測でしかありませんが、中には確度の高そうな情報も出てきています。そんなiPhone 14(仮)シリーズですが、Touch IDが搭載されるかどうかが気になっている人もいるでしょう。
Touch IDは、Appleの指紋認証システムのこと。2013年に発売されたiPhone 5sで初採用されたTouch IDは、2017年のiPhone 8シリーズまでは全モデルが搭載しており、ディスプレイ下部のホームボタンに搭載されたTouch IDはiPhoneのビジュアル的なシンボルにもなっていました。しかし、iPhone 8と同時に発表されたiPhone Xではディスプレイが全画面化され、ホームボタンとともにTouch IDが廃止。代わりに顔認証システムであるFace IDが搭載されています。これ以降、iPhone SEシリーズを除き、iPhoneにTouch IDは搭載されていません。
Face IDは認識精度も高く、Touch IDと比べてセキュリティ面でも優れているのですが、認証時に画面(カメラ)を見なければならず、机上に置いたiPhoneのロックを解除するために画面をのぞき込んだり手に取ったりという手間があるのが難点です。また、今でこそマスクを装着したままでもFace IDでの認証が可能となりましたが、花粉症時期の日本や新型コロナウイルス感染症でマスクが必須になってからは、Touch IDを求める声が大きくなっていました。
ところで、Touch IDを搭載といっても、iPhone SEなどのように前面下部に搭載されることをイメージしている人はあまり多くないのではないかと思います。現状、最も可能性があるとすれば、AndroidではPixelやGalaxyシリーズなど、主要メーカーが既に採用しているディスプレイに内蔵する形での搭載です。
Appleは新技術をいち早く取り入れるというより、ある程度成熟した技術をブラッシュアップするのが得意な印象があります。2018年に中国Vivoが初採用したディスプレイ内指紋センサーは、既に登場から4年以上経過しており、そろそろAppleが採用してもおかしくはない頃合かもしれません。
実際、Appleが次期iPhoneにディスプレイ内指紋認証を採用するというウワサは以前から出ており、Apple自身、ディスプレイ内蔵の光学式指紋センサーの特許を2020年に出願しています。また、Appleの情報に詳しいアナリストのMing-Chi Kuo氏も2023年にはディスプレイ内蔵のTouch IDを採用するとの予想を行っていました。ただし現在では、2023年と2024年のiPhoneにはディスプレイ内蔵Touch IDは搭載されないという主張に変わっています。
もう1つの可能性としては、iPad mini 6と同じく、電源キーにTouch IDを搭載する方式です。ディスプレイ内蔵指紋センサーは「認識が遅い」「認識されない」といった声もまだ聞かれますが、電源キーに搭載するのであれば問題はなさそうです。ちなみに、先に挙げたAppleのディスプレイ内蔵指紋センサーの特許では、こうした認識精度の問題を解決するための新しい手法が提案されています。ただ残念ながら、iPhone 14(仮)シリーズに電源キー方式のTouch IDが搭載されるという有力な情報は出てきていません。
結局のところ、iPhone 14(仮)にTouch IDが搭載される可能性は低く、Ming-Chi Kuo氏の予想通りであれば、早くても2025年のiPhone 16(仮)まで待つ必要がありそうです。その頃には、日常的にマスクを装着する必要もなくなっていると思いたいですが、そうなるとTouch ID復活の要望も薄れてきて、結局は搭載を見送りといったことにならないことを祈るばかりです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.