ジェネシスは、「aiwaデジタル」の第1弾となる製品群を発表した。同社は、アイワからブランドライセンスを取得しており、スマートフォンやタブレット、PCといったデジタル製品にaiwaブランドを冠し、自社製品として販売を行う。第1弾としてそろえたのは、1機種のスマートフォンと3機種のAndroidタブレット、それにPCとスマートウォッチだ。
7月に本連載で新規参入の経緯を取り上げたが、ジェネシスの狙いは、40代以上に知名度の高いアイワブランドで、自社の販路を開拓していくところにある。販路などに要望に合わせるカスタマイズサービスも打ち出しており、同社の本業である電子機器の製造受託の拡大ももくろむ。
一方で、第1弾の製品群はあくまでショーケースに近い位置付け。どちらかというと、B2Bでの比率が高いとみているようだ。コンシューマーの比率を高めていくのは、“aiwaデジタルらしさ”を出した第2弾以降の製品になる。そのための準備も着々と進めている。では、ジェネシスはどんな手法でaiwaデジタルを差別化していくのか。発表会で語られた、同社の戦略を読み解いていきたい。
aiwaデジタルの第1弾として発表された製品は、エントリー向けのものが多い。スマートフォンはプロセッサがUnisocの「T310」で、メモリ(RAM)もわずか2GB。OSにはAndroid 12が採用されているが、これは通常版ではなく、スペックを抑えた廉価なモデルでも動くように設計された「Go Edition」だ。Go Editionは、もともと新興国向けに開発されたバージョンで、Google純正のプリインストールアプリも機能がそぎ落とされている。
その分、同社のオンラインストアでの価格は1万6800円(税込み、以下同)と、非常にリーズナブルだ。最近では2万円台前半の5Gスマートフォンも存在しているため、必ずしもコストパフォーマンスがいいとはいえないものの、電話やちょっとしたアプリを利用するための端末には利用できる。実際、ジェネシスが想定しているターゲットも、スマホを初めて持つ子どもや、フィーチャーフォンから乗り換えを考えるシニア層だという。
同様に、タブレットもエントリー向けの製品が中心だ。8型モデルの「JA2-TBA0801」は、価格が1万6800円。10.1型の「JA2-TBA1002」も1万9800円で、2機種とも2万円を下回る。この2機種は、プロセッサにMediaTekの「MT8168」を採用。8型モデルはメモリが2GB、10.1型モデルは4GBで、スマートフォンと同じくエントリーモデルという位置付けだ。
スマートウォッチの「JA2-SMW0001」は、わずか5800円。Apple Watchなど、他社の製品と比べると質感では見劣りしていた一方で、心拍素センサーや血中酸素濃度センサーなどを備え、24種類のスポーツモードに対応する。最大5日間の連続使用が可能と、長時間駆動できるのもこのモデルの魅力だ。これらの製品に加え、10月中旬には、2in1スタイルでWindows 11 Proを採用した「TBW1001」も発売する。こちらの端末も価格は4万9800円で、PCとしては安価なモデルといえる。
Androidタブレットには、4つのスピーカーと2つのマイクを搭載し、I防P65の防水・防塵(じん)仕様を備えた「JA2-TBA1001」も用意しているため、全てがスペックの低いエントリーモデルというわけではないが、スマートフォンをはじめ、多くが「小学生がお小遣いをためて買える」(ジェネシス 代表取締役社長兼CEO 藤岡淳一氏)で投入される。いわゆるエントリーモデルは日本だとまだ規模は小さいが、その市場を開拓することで差別化を図った格好だ。
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