KDDIが総合研究所で研究プロジェクトを披露――日本の国際競争力を上げる技術は生まれるか石川温のスマホ業界新聞

» 2022年10月23日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

KDDIは10月14日、KDDI総合研究所が取り組んでいる研究プロジェクトを紹介するイベントを開催した。総合研究所は埼玉県ふじみ野市にあり、都内からクルマで1時間半近くかかったが、普段、なかなか知ることのできない研究内容ばかりで、勉強になった。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2022年10月15日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。


 10波に対応した小型平面マルチバンドアンテナといったようにすぐに実用化されそうなものから、過去から脈々と進化している映像圧縮技術、さらには月面でのモバイル通信や3Dホログラフィ、テラヘルツ帯を使った上り通信を大容量化する取り組みなど「実用化するにはまだまだ課題がありそう」「どこまでニーズがあるのか」といった技術まで、幅広い研究に触れることができた。

 なかには「符号暗号の解読コンテストにおける世界記録達成」といった、ひたすら暗号を解読するという研究者たちもいたりして、KDDIの研究分野における幅の広さにも驚かされた。

 この手の研究プロジェクトのお披露目はNTTドコモが横須賀リサーチパーク(遠すぎて都心で開催するようになったが)、NTTが武蔵野で行ったりと、すぐに記事にするのは難しいが、数年後に「あのときの技術か」と気づかされることもあるので、勉強もかねて機会があれば取材するようにしている。

 NTTグループやKDDIの研究所が、世界標準規格に貢献するものも多い。これからも日本企業の国際競争力を上げるには、こうしたキャリアの研究所に頑張ってもらう必要がある。

 キャリアが潤沢に研究開発費を投入するには、それなりに儲かり続けていなくてはならない。日本の政府も、通信技術における国際競争力を高めたいのであれば、キャリアに料金値下げなど迫るのではなく、もっと余裕のある経営をさせるべきではないか。

 一方でKDDIの総合研究所は、昭和とは言わないが、平成初期を感じさせる建物だったりもした。やはり、若い研究者が働きたいと思える環境を整備するのも重要ではないか。

 仕事柄、アメリカでグーグルやアップル、マイクロソフトなどのオフィスを見学してきたが、研究者じゃなくても、やはり「ここで働いてみたい」という雰囲気が出まくっている。

 若くて有能な研究者が海外流出してしまうのは日本にとってもマイナスだ。

 これほど円安が進んでくると、日本で研究してお金を稼ぐよりも、アメリカの企業で働いたほうが、より多くの生涯賃金を稼ぐことができる。

 総務省などは日本の通信技術による国際競争力を上げようと旗を振っているが、まずは日本国内の研究者が日本で働きたいと思える環境を整備していくことが大事なのではないだろうか。

© DWANGO Co., Ltd.

アクセストップ10

2026年02月10日 更新
  1. 「iPhoneの調子が悪いです」の文言、なぜアイホンのFAQに? 実はAppleと深く関係 (2026年02月08日)
  2. 総務省有識者会議が「手のひら返し」な我が国への示唆――日本を国際標準から遅れさせたのは自らの愚策のせい (2026年02月08日)
  3. ソフトバンク、短期解約を繰り返す「ホッピングユーザー」を抑制 その理由は? (2026年02月09日)
  4. 「東京アプリ」で1.1万円分をゲット、お得な交換先はどこ? dポイント10%増量+楽天ペイ抽選が狙い目か (2026年02月05日)
  5. KDDI、楽天モバイルとの「ローミング重複エリア」を順次終了 松田社長が言及 (2026年02月06日)
  6. 楽天モバイル、1000万回線突破も残る「通信品質」の課題 5G SAの早期導入とKDDIローミング再延長が焦点に (2026年02月07日)
  7. Googleが台湾のPixel開発拠点を公開 「10 Pro Fold」ヒンジ開発の裏側、“7年サポート”を支える耐久テスト (2026年02月09日)
  8. 東京アプリ、PayPayがポイント交換先に追加される可能性は? 広報に確認した (2026年02月05日)
  9. 東京アプリ、PayPayとWAON POINTをポイント交換先に追加 交換時期は「決まり次第案内」 (2026年02月09日)
  10. 「小型iPhone SEを復活させて」──手放せない理由SNSで話題 どこが“ちょうどいい”と評価されるのか (2025年11月29日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年