冒頭、通信障害に触れた高橋社長は、1日に総務省に対して、6つの観点で報告書を提出したと説明。障害時のローミングなど、継続して総務省のワーキンググループで議論の俎上(そじょう)に挙がっている内容もあるが、特に仮想化技術を中心に中期における追加投資500億円を計上。コア設備の仮想化基盤実装の前倒し、運用の自動化を目指す。また、完全自動化された輻輳(ふくそう)制御機能、AIを活用した運用の高度化などを早期に実現したい考えだ。
同社の現在のネットワーク構成では、5Gのコア設備は仮想化しているが、LTEのVoIP交換局の仮想化が完了しておらず、これを長期的な課題としていたが、障害を受けて3年間で500億円の投資で前倒しする。この仮想化に500億円の「半分以上」(同)を費やすという。
高橋社長は、「設備故障は一定(の頻度で)起きるものなので、いかに早くリカバリーできるかがポイント」と指摘。11月1日に発生した「瞬断」も、パケット交換設備の一部であるP-GWに障害が発生し、瞬時に切り替わったことで、「数分間の影響が合った」(同)という程度で解消した。
「7月の障害以降、スマートウォッチを2台構えて、24時間365日、寝るときもアラートが来るようにしており、瞬時に報告があった」と高橋社長。1日の障害は「運用オペレーション、広報、社内統率も、障害対応の流れはしっかりできていた」という認識を示し、今後も障害発生時の対処がスムーズにできることを目指す意向だ。
質疑応答で、物価高の影響について問われた高橋社長は、「一番効いているのは燃料費」とコメント。上期にここまで影響するとは想定外だったという。下期は、政府の対策にも期待しつつ、原価上昇は避けられないとの見通し。その影響を吸収するのが経営の命題と高橋社長は強調し、まずは値上げではなくコスト削減などで対処したい考えを示す。
端末も円安によって海外端末の単価が高くなったことに加え、値引き上限2万円の規制によって、より高額な5Gへの移行を促すために何らかの工夫が必要になるとの認識を示した。
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