「Xiaomiはブランド認知に課題がある」 ソフトバンクと三度目のタッグを組んだ先に見据えるもの石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

» 2022年12月10日 11時00分 公開
[石野純也ITmedia]
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バッテリーの安全性もアピール、Xiaomiはハイエンドモデル市場に食い込めるか

 一方で、あまり充電が速すぎて、発火してしまわないかは少々心配になってくる。2016年に登場し、全世界的に回収を余儀なくされた「Galaxy Note7」(日本では未発売)のように、小さな設計ミスが大事故につながるケースもある。特にスマートフォンに搭載されるリチウムイオンは、その素材上、燃えてしまいやすい。製品評価技術基盤機構(NITE)も、たびたび注意喚起している状況だ。事故が起きると、ブランドイメージは大きく傷ついてしまう。

 これに対し、Xiaomiは「既に開発から2、3年たっている技術で、怖いものではない」(ワン氏)という。同モデルには、バッテリーを安全に制御する42の機能を搭載。ワン氏は「バッテリーの温度が急に上がった際に調整するようなチップも入っていて、ソフトバンクも別個にテストを行っている」と太鼓判を押す。ソフトバンク側も、いろいろなテストを念入りにして、われわれとXiaomiで合意してここまで出すことができた」(菅野氏)と話す。

Xiaomi 12T Pro 42の安全対策機能を搭載したという

 バッテリーを24カ月間、無料で交換するサービスを実施するのも、その自信の表れだという。ワン氏は「2年のバッテリー補償をつけているのは、壊れない自信があるから。壊れなければ(結局交換しなくていいためXiaomiにとってのコストは)1年でも2年も同じこと」としながら、「成熟したテクノロジーなので安心して使ってほしい」と語る。

Xiaomi 12T Pro バッテリーを24カ月間無料で交換するのも、自信の表れ

 充電機能をフィーチャーしたからと言って、それ以外の機能が微妙というわけではない。カメラは、2億という高い画素数を生かし、ピクセルビニングで取り込める光の量を増やした。2億画素のセンサーを採用したのは、「光をできるだけ多く取り込むため」(ワン氏)で、画像サイズの大きさはあまり求めていないという。「ダイナミックレンジが広いため、日中の写真でも暗いところのノイズが少ない」(安達氏)のも、このセンサーを採用したメリットだ。さらに、ピクセルビニングを解除することで、「2倍までは画像の劣化がなくズームできる」(安達氏)。

Xiaomi 12T Pro 日本では、初めて2億画素カメラを搭載した

 Xiaomiは、6月にライカとの協業を発表。海外では、ライカブランドを冠した「Xiaomi 12S」や「Xiaomi 12S Ultra」も発売されている。「ライカは写真やレンズに関する専門技術を持っていて、特にハードウェアに非常に強い。XiaomiはソフトウェアやAIに強い。この両者の技術を合わせて製品を出そうと思った」(ワン氏)のが提携の狙いだ。残念ながら、Xiaomi 12T Proのカメラは「ライカ(ブランド)ではない」(ワン氏)ものの、「チューニングに関してはライカの認証を得たものを参考にしている」(同)という。ライカのブランドこそないものの、画作りに関しても期待はできそうだ。

 Xiaomiが得意とするコストパフォーマンスの高さも健在だ。オープンマーケット版の価格は10万9800円で、IIJは10万円を下回る価格で販売する。ソフトバンク版は、ストレージ容量が多いことや、流通コストなどが加わったことで14万3280円と少々割高になってはいるものの、同社が取り扱うハイエンドモデルの中では、安価な部類に入る。「新トクするサポート」で2年後に端末を返却すれば実質7万1640円で利用でき、比較的購入しやすいモデルといえる。日本では、ハイエンドモデルの顔ぶれが固定化しつつあるが、ここにXiaomiがどこまで食い込めるのか。その行方を期待して見守りたい。

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