バッテリー劣化でスマホ交換の「トリカエスマ保証」 月額200円からでもサービスが成立するワケ(1/3 ページ)

» 2023年01月17日 12時30分 公開
[石野純也ITmedia]

 リチウムポリマーを採用しているスマホのバッテリーは、繰り返し充電すると、どうしても劣化してしまう。経年劣化で最大容量が下がると、その分、バッテリーの持ちが悪くなる。一方で、キャリアやメーカーの用意している保証(補償)サービスには、バッテリーが対象になるものは少ない。AppleのApple Care+のように、バッテリー交換が含まれるものもあるが、どちらかといえば、珍しいサービスといえる。中古スマートフォンの販売業者の中には、最大容量を記載していない店舗もある。

 そんなバッテリーを保証するサービスを、ニューズドテックが開発した。「トリカエスマ保証」が、それだ。同サービスは、月額200円(税込み、以下同)の「ベーシックプラン」と、同500円の「プレミアムプラン」に分かれている。前者は、バッテリー容量が80%以上残っている場合に加入でき、79%以下になった際に端末ごと交換してもらうことができる。後者のプレミアムサービスでは、ユーザーがバッテリーの不調を感じただけで交換が可能。いずれも免責期間は3カ月。それ以降なら、端末の故障やヒビ割れなどがなければ交換に応じてもらえる。

トリカエスマ保証 バッテリーが劣化したスマートフォンを交換する保証サービス「トリカエスマ保証」

 交換で届く端末は、いずれも中古のスマートフォン。ベーシックプランは外装に傷が多いCランクの端末だが、プレミアムプランは比較的状態のいいAもしくはBランクの端末が交換品になる。これができるのは、ニューズドテックが中古スマホの流通やそのデータに基づく各種事業を手掛けているからだ。一方で、プレミアムプランは、ユーザーの自己申告に基づくため、交換のハードルが非常に低い。そんなサービスが本当に成り立つのか。同社の代表取締役社長CEO、粟津浜一氏に話を聞いた。

単体でバッテリーを保証するサービスを求める声が多かった

―― バッテリーの劣化に着目した保証サービスは珍しいと思います。なぜ、このようなサービスを開発したのでしょうか。

粟津氏 2022年3月に、「スマホカルテ」というスマホの健康診断ができるアプリをリリースしました。これは、26個のパラメーターをチェックし、蓄積したデータを分析することで将来の故障予測につなげるというものです。バッテリーに関しては、最大容量のチェックや将来予測をしています。iPhoneに関してはバッテリーの最大容量が出るようになりましたが、Androidは出ない。そこで、疑似的に負荷をかけ、電圧降下をもとに最大容量を推定しています。予測については、電気通信大学の横川慎二教授と共同研究した「バッテリー劣化をもたらす9項目」をベースに、バランス型、節約型、浪費型の3パターンで出しています。

 トリカエスマ保証は、当初、このスマホカルテを使ったサービスとして検討していました。バッテリーの最大容量が減ったり、故障してNGが出たりしたら交換するという形です。ただ、そうなるとスマホカルテを使っていなければならず、ユーザーにとっては面倒くさい。単体で保証できるモデルがないかという声もありました。一方で、使用感だけでは、本当に故障しているかどうかが分からない。であれば、バッテリーに特化し、スマホカルテを使わなければいいのではと考えました。

 バッテリーの保証は、キャリアの保証サービスにはなく、隙間になっているので協業することもできます。アンケートを取ると、バッテリーが劣化したら端末を交換するという人が50%もいるので、ニーズはあります。スマホカルテを使わず、バッテリー容量が79%以下になったら交換するモデルを建てつけようと考え、このようなサービスになりました。これが、トリカエスマ保証を出した経緯です。

トリカエスマ保証 ニューズドテックの粟津浜一社長

―― 交換で届く端末は中古のスマートフォンです。最初から中古ありきで考えたサービスだったのでしょうか。

粟津氏 保証会社と組んで保険のようにやるサービス展開と、僕ら自身の持っている中古端末を使う2通りのパターンを考えました。ただ、単純な保証サービスだと他社に簡単にまねされてしまいます。僕たちのノウハウを生かすのであれば、中古ならではのサービスとして建てつけた方がいい。その方が、より顧客にとってもいいんじゃないかと考え、この形になりました。

入りやすい価格設定を考えて月額200円からに設定

―― ベーシックプラン、プレミアムプランはそれぞれ200円、500円ですが、この価格はどうやって決めていったのでしょうか。

粟津氏 まずは入りやすい価格設定を考えました。1000円だとさすがに高すぎる。LINEのスタンプが200円なので、それを買うぐらいの価格に使用ということでスタンダードは200円にしました。プレミアムは、その倍ぐらいということですが、400円だと中途半端なので、ワンコインということで500円にしています。また、キャリアの保証サービスも見つつ、値ごろ感が出るようにしました。仮説を立て、売買価格や継続期間をシミュレーションしています。

トリカエスマ保証 ベーシックプランは月額200円、手数料なしでCランクの端末に交換できる。プレミアムプランは月額500円、手数料ありでA/Bランクの端末に交換できる

―― バッテリーの最大容量が低下するまでには、年単位で時間がかかります。新品も対象とのことですが、すぐにユーザーが入らないのではないでしょうか。中古端末だとニーズはありそうですが、どのような想定ですか。

粟津氏 2種類あると思っています。おっしゃるようにタイミングを見て入る方と、通常の保証サービスのように壊れるかもしれないから取りあえず入っておこうという方です。確かに、バッテリーの劣化は急に起こることはありませんが、不安感を持っている方もいます。この両方を顧客にできればという想定です。

―― 少しいやらしい聞き方かもしれませんが、ギリギリの状態になってから契約する人が多いと、もうからなくなってしまう……といったこともあるように思えましたが、いかがでしょうか。

粟津氏 あくまで“トリカエ”なので、僕らは顧客が使っていた端末を回収できます。僕らにとっては、仕入れと同じことです。交換用の端末は在庫からお出ししていますが、スタンダードだと(外装に傷が多い)Cランクなので、仕入れる際の買い取り価格は安い。一方で、僕たちは0円で端末を回収できます。価格設定は、仕入れと販売の相場を見てやっています。免責期間の3カ月を過ぎたら交換することを狙って契約する方が増えても仕方がないという前提で考えています。

―― なるほど。そこで回収した端末は、再度販売に回すのでしょうか。

粟津氏 基本的には売ることになります。また、(販売前に)バッテリー交換もできるものはやります。弊社は登録修理業者に登録しているので、一部のiPhoneは修理ができます。例えば、需要の大きいiPhone 8などは、バサッと買って再生する機能があります。こうした仕組みをそのまま当て込んでいます。もともと、エコシステムは持っていたのです。

 ただし、iPhone XS、XR以降の端末は、バッテリー交換時に非純正だと、最大容量が表示されません。これができれば、iPhone XSやXRももっとモデルに組み込めるのですが……。アラートが出ると、知らない人はビックリしてしまうので(という理由で、XS、XR以降のiPhoneにはバッテリー交換品は組み込んでいない)。

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