Appleが、3月1日からiPhone、iPad、MacBookの保証対象外バッテリーの交換料金を値上げします。値上げ幅としては、iPhoneが3000円、iPadが3800円、MacBookが最大1万3700円。値上げ対象の製品と改定前後の価格を下記にまとめてみました。なお、価格はあくまでも見積額なので、実際のケースによっては異なる可能性もあります。
今回、iPhone 14シリーズは対象となっていませんが、もとから高めの設定がされているためでしょう。同様にiPad Pro 12.9型(第6世代)、iPad Pro 11型(第4世代)、iPad(第10世代)も高めの設定になっており、値上げの対象外となっています。第9世代までのiPadが対象外になっている理由が分かりませんが、調達先や部材の違いなどがあるのかもしれません。
なお、値上がりするのは保証対象外のバッテリー交換料金のみで、AppleCare+に加入している場合はこれまで通り原則無償で交換できます(実機検査でバッテリー蓄電容量が本来の80%未満に低下している場合のみ)。
Appleは、2022年7月に円安を理由に国内の製品価格の値上げを実施しています。今回の値上げについては特にリリースは出されていませんが、日本だけではなく世界中で値上げが行われているので、円安は関係なさそうです。素直に考えるなら、原材料や輸送コストの高騰といったところでしょうか。ただのその場合、バッテリーの交換料金のみ値上げなのが気になります。
近年、世界的に「修理する権利」が盛り上がりを見せており、2022年末には米ニューヨーク州知事が米国で初めて修理する権利法案である「Digital Fair Repair Act(デジタルフェア修理法)」に署名し、2023年7月に同法律が発効します。
修理する権利は、簡単に言ってしまうとこれまで指定サービス業者でしか修理できなかったスマートフォンやPCなどを街の修理業者やユーザー自身が修理できるようにしなければいけないというもの。こうした動きに対応するため、Google、Samsungなどの各メーカーはバッテリーやディスプレイなどの純正部品を一般消費者にも販売を開始しており、Appleもセルフサービス修理プログラムを実施しています。
このセルフサービス修理プログラムは日本では提供されていないのですが、提供国では専用サイトから部品などを購入可能になっています。ここで販売されているバッテリー部品価格は、Appleでのバッテリー交換料金と同じです。このため、こちらの部品価格も3月には値上げが実施されるのでしょう。
バッテリー価格を値上げすることで、ユーザーによる修理のハードルを上げている、というのは少し偏った見方かもしれませんが、まったく無関係とも思えないところ。どうせ高い価格を払うのであれば、Appleに任せようという方向に誘導したいのかもしれません。バッテリー交換をして延命するのではなく、新しい端末に買い替えてほしいという思惑もありそうです。
とはいえ、本当のところはAppleのみぞ知るところ。ユーザーとしては、できるだけバッテリーが消耗しないように気を付けるにこしたことはありません。
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