ここまで半日程度の時間、試用してみて感じたのは、やはり先に述べた使用感の改善は大きいということだ。撮りたいと感じたものをスッと撮影できる。
一方、やや残念に感じたのは「Leitz Looksだとブライトフレーム表示ではない」ということだ。
通常の写真モードであればブライトフレーム表示になるし、Leitz Phone 1の頃からライカらしさを演出するこだわりのUIだったはずだ。処理能力の都合などがあるかもしれないが、Leitz looksよりも通常撮影モードの方がライカ感があるというのは、少しちぐはぐな印象を受けた。
またAFが合った際は音が鳴り、かつ白い測距枠が少し太くなるという動作をするのだが、音は消したいときがあるし、測距枠の変化はささやかで、分かりにくい印象だった。合焦した際は測距枠の色を変えるなどの選択肢があってもよかった気がしている。
合焦中にもリアルタイムでボケの演算をしているようで、特にLeitz looksのNoctilux 50で撮影した場合は、ウォブリング動作に合わせてボケが変動する。その結果、シャッターを押す直前にライブビューで見ていたよりもボケ部分が大きかったり、少なかったりする。例えばiPhoneのポートレートモードでは、まずF値(というかそのF値相当のボケ量)を設定したのち、ライブビューで見た通りにボケた写真が得られる。このようなユーザー体験の方が、多くの人にとって自然に感じられるのではないか。
そのようなことを考えながら、庭園を出て、今度は街中へと足を向けた。以下、全てモードはNoctilux、上がLeitz Looksだ。
道を行きながら気になっているものを写していると、Leitz looksはスナップ向きなのかも、という思いを抱いた。いくつかの問題はあれど、サイドボタンのダブルクリックで即Leitz Looks状態のカメラが起動し、事前に設定していた通りの画角ですっと写真が撮れる。しかも「一応いまノクチで撮っているんだよね」と感じながら。これはけっこう楽しい。
また演算でボケを作り出すことには現状、技術的な限界もある。木々の枝や葉、花といった微細な被写体だと、不自然な仕上がりになることもままあった。しかし街撮りスナップであればそういう問題も起こりにくい(起こらないわけではない)。
例えばリコーGRを使うようなスナップ好きハイアマチュアにとって本命になるか? と言われれば難しいけれども、写真専用カメラはいらない、でもスマホでエモい写真を撮りたいというニーズには合う気がした(そうなるとAQUOS R7がライバルになってきそうだが)。
Leitz Phone 2を試用する前には、既存のライカユーザー、あるいはM型を使うまでではないがカメラや写真にこだわりのあるハイアマチュアがターゲットなのかと感じていたが、どちらかというと「撮るのは好き・カメラは持ちたくない」というスマホオリエンテッドなユーザーにこそ向いている機種という印象を受けた。アスペクト比が4:3というのも、そのようなユーザーにとっては親しみやすいだろう。
広角から標準まで撮れるし、多くのM型レンズと違って被写体に寄れるし、などと考えていると、ふとこのスマホだけで身軽な小旅行に行ったら楽しいかもな、と思う自分がいた。
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