2023年になって1カ月が経過しました。少し遅くなりましたが、今年も「5分で知るモバイルデータ通信活用術」をよろしくお願いいたします。
さて、モバイルデータ通信という観点に立つと、2022年は結構多くのニュースがありました。振り返りつつ、2023年の展望を語ってみようと思います。
既報の通り、楽天モバイルが2022年10月に大量通信を行った際の通信制限の運用方法を変更しました。同社から公式に発表されたものではありませんが、検証で確かに変わったことは体感済みです。
以前の記事では触れなかったのですが、楽天モバイルが通信制限の運用方法を変更したのは「据え置き(ワイヤレスホームルーター)向けのサービスを始めようとしているのでは?」とにらんでいました。
その予想は的中し、1月26日にワイヤレスホームルーター向け料金プラン「Rakuten Turbo」がリリースされました。
Rakuten Turboの月額料金は4840円(税込み、以下同)で、契約から3年間は月額3685円で利用できます。新規契約時に3300円の事務手数料が必要ですが、1回線目に限りキャンペーンで無料となります。
スマートフォンやモバイルルーター向けの料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」と比べると、月額料金が1.5倍弱(当初3年間は約1.12倍)であることや、事務手数料の無料化がキャンペーン扱いであることなど、率直にいうとあえて契約するメリットを見いだしづらい状況です。対応するネットワークは楽天モバイルの自社網(5G/LTE)のみとなり、パートナー回線(auへのローミング)は利用できません。
以前から言っている通り、楽天モバイルのモバイル通信サービスは、自社エリア内であればとても快適に使えます。「据え置きタイプのサービスが出てくれば、かなりいい感じで他社と戦えるのではないか?」と思っていたのですが、ふたを開けてみると、主に料金設定の面で残念な印象です。推測でしかありませんが、楽天モバイルの“苦境”を反映したのかもしれません。
ことあるごとに「常識を打ち破る」とアピールしていた楽天モバイル。ワイヤレスホームルーターでも常識を打ち破ってほしかったのですが……。
楽天モバイルも参入してきたワイヤレスホームルーターですが、その専用料金プランを見てみると、特に5G通信に対応するものは「契約住所」または別途届け出た「設置住所」以外では通信できないようにする傾向にあります。位置を問わずに使えるものといえば、UQコミュニケーションズとそのMVNO(※1)が提供する「WiMAX+5G」しか選択肢がありません。
(※1)KDDIと沖縄セルラー電話を除く(両社が提供する「ホームルータープラン 5G」は利用場所の制限がある
ワイヤレスホームルーター向けの料金プランを単純に「固定インターネット回線の代わり」と考えれば、利用場所に制限があっても不便を覚えることはありません。現に、NTTドコモの「home 5G」やソフトバンクの「SoftBank Air」は、モバイルサービスではなく“インターネット”サービスの1つとして紹介されています。
ただ、筆者としては自宅で使っているワイヤレスホームルーターを週末や連休の旅行時に旅行先に持ち込みたいと考えてしまいます。一般的に、ワイヤレスホームルーターはモバイルルーターと比べるとWAN(モバイルネットワーク)側はもちろん、Wi-Fi(無線LAN)側のアンテナの感度が良好で、より安定した通信を期待できるからです。
利用場所に設置したホームルーターを、週末はキャンプ場に持ち運んだり、お盆休み・年末年始の帰省や旅行などに持っていったりできれば、滞在先で快適なインターネット通信が使える可能性が高まります。
最近ではWi-Fiアクセスポイントを設置するホテルやキャンプ場も増えてはいます。しかし、快適に通信できるとは限りません。そういう観点からも、ワイヤレスホームルーター向けのプランも移動して使うことを認めてほしいと思わなくもありません。
もっとも、home 5Gやau(KDDIと沖縄セルラー電話)のワイヤレスホームルーターは、モバイルルーター向け料金プランのSIMカードと組み合わせて使うこともできます。本体を別途調達しなくてはいけませんが、やろうと思えば「移動できるワイヤレスホームルーター」を作ることはできます。数日がかりの外出でも便利に使えるので、個人的にはお勧めです。
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