世界を変える5G

「Open RAN」で火花を散らすドコモと楽天 成り立ちは違うが“共演”もあり得る?石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2023年03月06日 12時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 2月27日から3月2日(現地時間)にかけて開催されたMWC Barcelonaで、ドコモと楽天が激しい火花を散らした。と言っても、国内通信の料金やサービスの話ではない。舞台は、両社が注力するOpen RAN(O-RAN)だ。

 楽天は、2021年に完全子会社化した米アルティオスターや2020年に買収した米イノアイの技術をまとめる形で、2021年に楽天シンフォニーを発足。もともとはO-RANや完全仮想化技術を輸出していく事業ブランドだったが、2022年には法人化を行い、海外拠点も拡充している。

 これを追いかける立場に立っているのが、ドコモだ。同社は、MWCに合わせてO-RANを推進するためのブランド「OREX」を発足。同社の支援先が5社になったことも明かしている。ともに日本発でO-RANを推進していくドコモと楽天シンフォニーだが、2社には成り立ちの背景や立ち位置の違いもある。その最新動向を見ていきたい。

ドコモ 約4年ぶりにMWCに帰ってきたドコモ。ブースでは、O-RANの新ブランドであるOREXや6Gのコンセプトをアピールした
楽天シンフォニー O-RANや仮想化ネットワークのシステムを外販する楽天シンフォニーも、MWCにブースを構え、イベントも実施した

異なるメーカーの機器をつなぐO-RANを推進するドコモと楽天

 O-RANとは、モバイル通信の機器をオープン化して、異なるベンダー同士の装置をつないでいけるようにする取り組みのことを指す。日本では、マルチベンダー体制が比較的一般的だが、海外ではノキアやエリクソン、ファーウェイといったインフラベンダーが1社で丸ごとキャリアのネットワークを構築していることも多い。キャリア側に技術的なノウハウが少なくても、サービスをタイムリーに提供できるのがこの体制のメリットだ。

O-RAN 富士通が出展したO-RAN対応の無線ユニット。ベンダーの中では、こうした製品を出展する企業が増えている

 一方で、1社のベンダーから抜け出せない、「ベンダーロックイン」の問題はかねて指摘されてきた。3Gや4Gで入れたベンダーは、5Gになったからといって丸ごと入れ替えるのは難しい。一度ネットワークができてしまうと、代替が難しくなるというわけだ。結果として競争が起きず、コストが高止まりしてしまうのは弊害といえる。基地局などの保守管理においても、ベンダー側が在庫を抱えていなければ、すぐに部品を入れ替えるのが難しくなる。

 こうした中、2018年にはモバイルネットワークを構成するさまざまな機器のインタフェースをオープン化して、つないでいくための仕様を策定するO-RAN Allianceが発足。設立メンバーとして、ドコモや米AT&T、独ドイツテレコムや仏オレンジに加え、中国のチャイナモバイルもここに名を連ねている。このアライアンスが策定した仕様に基づいた機器は、MWCに多数出展されている。

O-RAN 2018年に設立されたO-RAN Alliance。日本のキャリアでは、ドコモが設立メンバーの1社に入っている

 具体的には、ドコモのOREXコーナーに展示されていた仮想化の構成図が分かりやすい。この「タイプ1」では、基地局のソフトウェアに富士通、仮想化プラットフォームにWind Riverが採用されており、ハードウェアアクセラレーターはNVIDIAだ。また、サーバには富士通とインテルを採用している。こうした異なるベンダー同士を組み合わせても装置が動作し、モバイルネットワークを構築できるのがO-RANの成果だ。

O-RAN 仮想化1つを取っても、そのレイヤーやベンダーはさまざま。これらをキャリア側が自由に組み合わせられるのが、O-RANのメリットだ

 中でも、日本勢はこれまで基地局ベンダーとしてのシェアが低かった半面、ドコモが積極的に推進していたこともあり、O-RANへの取り組みは早かった。MWCでも、NECや富士通のブースの展示はO-RANに対応したソリューション一色だった。既存のベンダーは、パイを奪われる側になるため、どちらかといえばO-RANに対してはやや消極的な面もあり、日本のキャリア、ベンダーの勢いが目立つ。

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