世界を変える5G

5Gが変えたエリア競争の在り方 JTOWERの“インフラシェアリング”が支持されている理由石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

» 2023年03月18日 13時38分 公開
[石野純也ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

6000本超の鉄塔を購入し、加速させるタワーシェアリング

 一方で、基地局を設置するための鉄塔をシェアするタワーシェアリングも、軌道に乗り始めようとしている。転機になったのが、NTT東西、ドコモからの鉄塔譲渡だ。NTT西日本から71本、NTT東日本から136本、ドコモから6002本の鉄塔を買い取る契約を結び、現在、その移管作業を行っている。田中氏によると、2022年末時点で546本がJTOWERに移り、「来年度までに全ての鉄塔の移管を行っていく」という。

JTOWER NTT東西とドコモからそれぞれ鉄塔を買い取り、インフラシェアリングで他社に提供する

 NTT東西やドコモから譲り受けた鉄塔に加え、JTWOER自身も鉄塔を建設。採算性が悪く、各社とも二の足を踏みやすいルーラルエリアに、「われわれの方から『鉄塔を建てるのでシェアリングしないか』とご提案を行った」(同)という。JTOWERは「2社以上のキャリアの対策するのであれば投資を行う」(同)方針で、現在、150本の鉄塔の建設が決定しているという。キャリアの利用も始まった。

JTOWER ルーラルエリアでは、JTOWER自身がゼロから鉄塔を建てるケースもあるという

 中期的な目標として、JTOWERは「少なくとも1万本以上」(同)のタワー保有を目指す。海外の事業者には、「200万本を超えている中国鉄塔(チャイナタワー)は特殊だが、10万本をやっている会社もある」(同)ため、1万本は現実的な数値といえる。ドコモ以外が鉄塔を活用することで、その平均値を1.8キャリアに上げていく方針だ。

JTOWER 中期目標として、鉄塔は1万本まで拡大していく方針

 鉄塔を売却したドコモは、資金を得られる。取得金額は1062億円と巨額だ。ドコモは、その鉄塔をJTOWERから借りる立場に変わるが、相乗りしてくるキャリアが増えれば、その分だけオペレーションコストや保守コストが案分され、負担は軽くなる。JTOWER自身も貸し出しで収益を上げられるため、キャリアとJTOWERの双方にメリットのある仕組みだ。

 ただし、ドコモにとっては、強みであったエリアを他社に開放することにもつながるもろ刃の剣だ。楽天モバイルがJTOWERから鉄塔を借り、いち早くドコモ並みのエリアを展開する――といったシナリオも描けてしまう。裏を返せば、これは、競争軸がエリアから上位レイヤーに移りつつあることの証拠だ。10年以上前からこの市場で種まきをしてきたJTOWERだが、その果実がようやく実ろうとしているといえるだろう。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年07月11日 更新
  1. スマホをタッチせずに改札もレジも通過 日本で広がる「UWBタッチレス決済」最前線 (2026年07月10日)
  2. 「d NEOBANK」は消滅して「ドコモの銀行」に、アプリアイコンも変更 住信SBIネット銀行の商号変更で (2026年07月09日)
  3. 「060」携帯電話番号の提供延期の原因は? 林総務大臣が改めて説明 (2026年07月10日)
  4. 海外限定のシャープスマホ「AQUOS wish5s」を台湾で見た (2026年07月10日)
  5. あなたの顔バレますよ──阪急電鉄が撮影時の注意喚起、理由は鏡面反射? (2026年07月09日)
  6. 新生「ドコモ・フィナンシャルグループ」本格始動 強みのドコモショップを生かし“やさしい金融”を訴求 (2026年07月09日)
  7. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  8. 「ドコモの銀行」始動、個人向け銀行サービスを刷新 dカードやマネックス証券の利用で初年度最大4.5%還元も (2026年07月09日)
  9. 20代の筆者が2026年に「カセットウォークマン」へ回帰した理由 タイパ時代にあえて“不便”を選んで発見したこと (2026年07月09日)
  10. どんな車でもエンタメ&ナビ環境を改善できる「オットキャスト ポータブルディスプレイオーディオ OTTOCAST ScreenFlow」がセールで2万4299円に (2026年07月09日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー