かくして、イメージセンサーは「型と書いてインチと読む」世界なわけだが、さらにややこしくしているのは、1インチより細かい値は「分数」で表すこと。しかも分母が小数だったりするのである。
1/2インチと1/1.55インチと1/3インチと……てなんていわれてもややこしくてしょうがない。さらにややこしいのは、どの機種も「カメラによって使っているセンサーそのものやサイズが違う」こと。
NTTドコモのサイトにある「Galaxy S23 Ultra」のカメラスペックを見てみよう。こちらに詳細なスペックが掲載されていたのだ。
4つあるカメラのうち、超広角は1/2.5インチ。広角は1/1.3インチ、3倍の望遠と10倍の望遠は1/3.5インチとある。
メインのカメラは1/1.3インチと大きく、望遠カメラは(恐らくはレンズも含めて薄くコンパクトにおさめるために)他より小さなサイズのセンサーとなっている。
これを小数で表すと、超広角が0.4インチ、広角が0.77インチ、望遠が0.29インチ、となる。分数で見るよりも小数の方が大きさの違いがよく分かるというものだ。ちなみに対角線が半分になると面積は1/4になる。
コンパクトデジカメの世界では1型がハイエンドだが、その前は1/1.7型(約0.59インチ)がハイエンド機の標準だった時代、その前は2/3型(約0.67インチ)だった時代があった。それと比べると、1/1.3インチがけっこう大きいってのが分かる。
Galaxy S23 Ultraはハイエンドモデルだ。じゃあスタンダードモデルの「Galaxy A53」はというと、全体にセンサーサイズが小さくなる。
メインカメラとなる広角カメラが1/1.7インチで超広角カメラが1/3.2インチだ。1/5.0インチのマクロカメラはまあ特殊なカメラなのでおいておくとして。
センサーサイズはコストに絡んでくるし、センサーサイズが大きくなればその分レンズも大きくしなければならないので、サイズにも絡んでくる。つまるところ、ハイエンド機とスタンダード機はカメラの部材そのものも違うのだ。
面白いところでは、OPPOの「Find X3 Pro」がある。超広角カメラと広角カメラの両方に同じ大きなサイズのセンサーを搭載し、デュアルフラグシップを標ぼうしているのだ。これは非常に珍しい構成で、それだけで文字通り「超広角カメラにも広角カメラにも力を入れているんだな」ってのが伝わってくる。
でも、他よりセンサーサイズが小さい望遠カメラについてはサイズを表記していない。
Google Pixel 7も広角カメラは「1/1.31インチ」だけど超広角カメラは非公開だ。
「大きなセンサーを搭載している」カメラのセンサーサイズは積極的に公開するけど、小さなセンサーだとスペックに書かないこともある。そういう世界なのだ。
センサーサイズを見れば画質が分かる……というほど単純なものじゃないし、その数値がセンサーの対角線の長さを示しているわけでもないので、他の機種との比較や、これはメインカメラには力を入れているけど、超広角や望遠カメラはそれほどでもないな、くらいの大ざっぱな傾向を見るくらいで考えておくのがいいかと思う。
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