夏までに待てないあなたに――ドコモの「データ詰まり」問題 今すぐできる対策まとめ5分で知るモバイルデータ通信活用術(1/2 ページ)

» 2023年06月10日 12時00分 公開
[島田純ITmedia]

 NTTドコモが4月26日、報道関係者向けの「5Gネットワークに関する戦略説明会」を開催しました。その名の通り、ドコモの5Gサービスの利活用ビジョンに関する説明がメイン……だったのですが、会の後半はSNSなどで話題となっているモバイル通信の「データ詰まり(パケ詰まり)」の原因と対策の説明に割かれました。

 説明の終了後に行われた記者との質疑応答も、このデータ詰まりの問題に関するやりとりが大半を占めました。一般ユーザーだけでなく、報道関係者も本件に強く関心を持っているようです。

 今回の「5分で知るモバイルデータ通信活用術」では、ドコモのデータ通信品質が悪化した背景を改めて解説しつつ、その改善までにできる対策を紹介します。

データ詰まり ドコモの「データ詰まり」はなぜ発生している……?(画像はイメージです)

そもそも「データ詰まり」はなぜ起こっている?

 電波はバッチリ捕捉しているのに、データ通信ができなかったり遅かったりする――これが、ドコモのモバイル通信におけるデータ詰まりの概要です。

 この現象は大規模な鉄道駅の周辺や繁華街、住宅密集地などユーザーが極端に集中する場所で発生しやすい傾向です。場所によるので、所在地や時間帯によっては影響を受けない可能性もあります。ゆえに、生活/移動パターンによって、データ詰まりに日々悩む人もいれば、全然困らない人もいる状態です。

 問題はなぜこのような現象が発生するのか、ということです。少し長くなりますが、過去の経緯も踏まえつつ解説していきます。

イメージ図 メーカーや機種によって細かな挙動は異なりますが、昨今のドコモにおけるデータ詰まりは「電波はしっかりと捕捉しているのにデータ通信ができない」という現象です。この画像ではデータ通信が確立していることを示す通信モードのピクト(アイコン)が消えていますが、「5G」「4G+」「4G」といった表示が出ているのに通信できないケースもあります

 他のモバイルキャリア(通信事業者)と同様に、ドコモは今でも5Gエリアの拡大を進めてています。それに当たって、ドコモは4G(LTE/Xi)や3G(W-CDMA/FOMA)では使われていない「4.5GHz帯(n79)」「3.7GHz帯(n78)」の電波をメインに据えています。

 一方で、au(KDDI/沖縄セルラー電話)やソフトバンクは、3.7GHz帯でのエリア構築を進めつつ、カバー範囲を広げるために、4G/3Gで使われている周波数帯を5Gに“転用”する対策も行っています。ドコモでも転用を始めているものの、2社と比べるとその動きは鈍い状況です。

ドコモのエリア化 ドコモは4.5GHz帯と3.7GHz帯を利用した5Gエリアの構築を「瞬速5G」と銘打って進めています。これらの周波数帯“だけ”で構築した5Gエリアの広さでいえば、auやソフトバンクよりも有利であることは事実です

 しかし、先述の通り、ドコモではデータ詰まりの問題が顕在化しています。2021年の5Gサービス開始当初も似た問題が発生していましたが、これは「セルエッジ」と呼ばれる5Gエリアの端部において、5Gと4Gの“つなぎ替え”がうまく行かないことが主因でした。

 そこで、ドコモでは4.5GHz帯/3.7GHz帯の5Gエリアを広げつつ、基地局側の制御にチューニングを施し、5Gの電波が弱くなった際に迅速に4Gにつなぎ替えられるようにしました。

2021年 2021年の5Gサービス開始当初も「パケ止まり」が問題になりましたが、その際は5Gエリアの拡大ピッチの加速と基地局側の制御チューニングによって対処しました

 では、現在のデータ詰まりはなぜ起こっているのでしょうか。

 ドコモでは引き続き、4.5GHz/3.7GHz帯の5Gエリアの拡大を続けています。その際は、エリアにおけるトラフィック(総通信量)を勘案しつつ4G基地局に併設する形で進めているそうです。しかし、以下の要因で局所的にデータ詰まりが発生するケースが増えているそうです。

  • 5G基地局の増設ペースを上回るトラフィックの増大
  • 5G基地局の設置場所不足
  • 再開発などによるエリア変動
  • 4Gにおける特定の周波数帯の逼迫(ひっぱく)

 トラフィックが増えた場合、基地局の増設(と近隣基地局との干渉調整)によって通信品質をある程度高められます。しかし、基地局設備はある程度の重量があるため荷重の問題から4G基地局と併設できない(≒別の場所に設置しないといけない)ケースも少なからずあるようです。

 また、ドコモがメインで利用している4.5GHz帯/3.7GHz帯の電波は、4Gで利用している電波よりも周波数が高いため、そもそもの基地局数をより多くしないといけません。そのため、先述の荷重の問題に関わらず、基地局の設置場所をより多く確保する必要があります。しかし、特に都市部では基地局を置ける建物や施設が足りない(見つからない)という話もあります。

 さらに、東京の都心/副都心や大阪の都心部に見られるように、昨今の都市部では再開発事業が盛んです、中層/高層ビルのスクラップ&ビルドが行われています。このことで基地局を撤去せざるを得なくなったり、撤去に至らずとも、人流や電波の飛び方の変化に伴い基地局そのものの位置やアンテナ角度の再検討(再設計)が必要になったりする事例も見受けられます。

 5Gを利用できない(つながらない)エリアにおいて、5G端末は4G通信を利用します。一方で、5G非対応の4G端末は、引き続き4G通信を使っています。一般的に、携帯電話端末は基地局(ネットワーク)との交信によりつなぐ電波を選定するのですが、真っ先に“つながりやすい”周波数帯の電波をつかんだ後、それを手放さずに(他の周波数帯に切り替えずに)通信し続ける端末も存在します。このことで、つながりやすい周波数帯に端末が集中してしまいパンクするという事象もあるようです。

ドコモの認識 今回のデータ詰まりは複合的な原因で起こっているようです。とりわけ「4Gにおける特定の周波数帯の逼迫」については、一部の屋内基地局において800MHz帯(バンド19)の逼迫が見受けられるそうです(筆者も編集者もそれらしき経験を受けたことあり)

 ドコモでは、これらを「5G移行の過渡期における課題」と位置付けています。中長期的には4.5GHz帯/3.7GHz帯の5G基地局によってエリアを広げていくという方針に変わりはありませんが、短期的な対策として2023年夏までに順次、以下の対策行うとしています。

  • 基地局間のカバーエリア調整(端末をなるべく1つの基地局に集中させない)
  • 周波数帯の分散制御の強化(つかみやすい帯域をなるべく早く手放す調整の実施)

 対応は順次ということで、既に実施済みの場所もあります。ただ、自分が住んでいる、あるいは通勤/通学しているエリアで対策がすぐに行われるという確証はありません。

 それでも、ドコモの言葉を信じれば、データ通信が著しく低速になったり、その影響でコード決済が利用できなくなったりする問題は9月頃までには改善するはずです。

ドコモの対策 ドコモが打ち出した短期的な対策。中長期的には4.5GHz帯/3.7GHz帯の5G基地局によってエリアを広げていくという方針です
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