「Xperia 1 V」開発陣に聞く“ハイエンドスマホの売り方” 約20万円でもターゲットは明確(2/4 ページ)

» 2023年06月13日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
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広角カメラが大きく進化も、1型センサーを搭載しなかった理由は?

―― Xperia 1 Vの広角カメラは、久々に大きく変わった印象があります。その理由を教えてください。

濱口氏 いろいろな理由がありますが、お客さまの期待として、毎年大きな進化が望まれています。現実的にはそこまではいかないのですが、今年(2023年)はメインカメラの進化、ある年は望遠カメラの進化というようにやってきました。ここしばらく望遠側に力を入れてやってきたところがあったので、今年は広角に新しい技術を採用しています。

―― センサーの進化というと、大判化で1型センサーを搭載する端末も増えています。Xperiaも、「Xperia PRO-I」で1型を採用しました。なぜそちらの方向ではなかったのでしょうか。

濱口氏 その時々の理由がありますが、1型にした際のサイズ感なりは大きいですね。センサーサイズは1つの要素であって、それだけが全てではありません。新しい技術が解決してくれる部分も多々あります。

森田氏 (1型センサーは)高さの方向をしっかり確保しないと、光学系を使い切ることができません。1型センサーの性能を隅まで使おうとすると、カメラバンプの厚みを取る必要も出てきます。

―― なるほど。スマホとしての厚さとのバランスを取ると、Exmor T for mobileがいいということですね。その意味だと、Xperia 1 Vは「Photography Pro」に縦撮りができたり、重ね合わせで低照度撮影のクオリティーを上げていたりと、少しこれまでのXperiaよりもスマホらしい部分が増えているような印象も受けました。もともとカメラ志向だったと思いますが、揺り戻しのようなものはあったのでしょうか。

濱口氏 揺り戻しではなく、画質に関してはいいものを突き詰めようとしたからです。フルサイズと同等の画質を実現できるのは、新しいイメージセンサーの構造と画像の重ね合わせがあるからです。この重ね合わせができるのは、(画像処理の能力が高い)スマホの大きなアドバンテージです。これを使わない手はありません。

 (UIが)変化したのは、αを使われているクリエイターの方にお話をうかがったのがきっかけです。そのとき皆さんがおっしゃっていたのは、「普段αを使っていても、スマホにスマホのよさがあり、縦の操作があった方がいい」ということです。商品開発にあたっては、そういった声を真摯に受け止めています。そういうところがターニングポイントになりました。

AIを活用した機能は以前から提供 必ずしも光学のパワーが全てではない

―― ToFセンサーの代わりに、AIを使って被写体の深度を取るというお話もありました。以前よりAIを強調しているようにも聞こえましたが、これはスマホのトレンドを意識してのことでしょうか。

濱口氏 もしかすると、それはコミュニケーションの変化かもしれません。例えば(以前から搭載されている)瞳AFもそうですが、人間だとさまざまな人種、高齢者から子どもまで、動物もいろいろなデータを学習させてやっていますが、これもAIの一種です。そういったところは既にやっていたので、訴求しない手はないと思います。α側もどんどんAIを導入しているので、そこは可能な限り両立させたい。必ずしも光学のパワーが全てではないですからね。

―― 光学の力が全てではないという言葉を聞いて、体験会で撮った写真を比べてみたら、「α6400」よりXperia 1 Vの方がキレイに撮れていたのを思い出しました(笑)。

濱口氏 Xperia 1 Vの強みである24mmを使い、ある程度動かないものというドンピシャなシチュエーションだとXperiaが上回ることはあります。ただ、あとは望遠ですね。これもまだαに優位性があります。そこは紛れもない事実ですが、10年前だとスマホはなかなかなコンデジに勝る絵が撮れませんでした。これは技術の進化だと思います。

 普通の人は、「今日はカメラで撮るぞ」と思ったときにカメラを持っていきます。ただ、撮りたいものに出会うのは、そういったときだけではありません。αかXperiaかのどちらかという話ではなく、通勤の帰りに夕焼けがキレイだったらパシャっと撮りたい。そういうお客さまはやはりいらっしゃいます。

 また、カメラはどれもディスプレイが小さく、見たときの印象も違います。Xperiaには4K HDR対応のディスプレイが搭載されています。スローモーション動画も、これ(Xperia)で表示すると作品っぽく見えます。これは、イメージセンサーやカメラの力ではなく、ディスプレイもキレイだからです

「Exmor T for mobile」はXperia向け、他社製品には搭載されない

―― 最新のセンサーをいち早く搭載しましたが、ソニーのセンサーの実力を世に示していく役割もあるのでしょうか。

濱口氏 われわれとしてはそうありたいと思っています。ただ、ソニーセミコンダクタソリューションズのお客さまに対しては、彼らの判断もあります。また、Exmor T for mobileというのはXperia向けのもので、その名前のセンサーが他社に搭載されることはありません。また、センサーはどう使いこなすのかというところも重要です。デバイスだけでできるものではないですし、そのデバイスも組み合わせが重要です。センサーを同じにしても、レンズはメーカーによって異なりますし、どういった画質にするのかでも違いが出ます。

―― その意味で、Xperiaは以前から忠実な色合いを守っているような印象があります。

森田氏 AIを使うとき、何を教師データにするかですが、教え込ませることが必要です。うちのエンジニアはもともと画質チューニングをしているので、おのずと忠実な画質に近づいていきます。

―― ただ、今回はXperia 1に「クリエイティブルック」が入り、ユーザーが画質を選択できるようになりました。SNS映えするように盛りたいというニーズに応えたのでしょうか。

森田氏 あれはαから来ている機能なので、必ずしもそういう発想ではありません。盛りたい方はご自身でやっていただき、あくまで元の画像は現実を忠実に捉えるようにしています。

Xperia 1 V 撮影時の色味を変更できる新機能「クリエイティブルック」

―― カメラで言うと、Xperia 10シリーズにはPhotography Proが入っていません。Xperia 10 Vも同様ですが、ここはニーズが違うのでしょうか。

濱口氏 ユーザーのニーズを考えています。Xperia 10シリーズのユーザーは、まだそういったところに行っていない若年層や、もう少し年齢が上でそこまで使いこなせない方が対象です。ただ、先ほどお話ししたように、クリエイターの方も、スマホで撮るときはスマホライクな操作性がいいという声はいただいていました。そこは新鮮な意見で、Photography Proにも(BASICモードとして)反映させています。

森田氏 αのコミュニティーを持っているのは、われわれならではの強みです。(初めてPhotography Proを搭載した)「Xperia 1 II」のときに称賛してくださったプロの方もいましたが、最近改めてヒアリングしてみると、スマホはスマホライクに撮りたいという方が少なくなかった。また、彼ら自身も縦で動画を撮ってTikTokやInstagramにアップする仕事が増えているといいます。横で構えるのが正義だったのが、縦が普通になってきているということです。

濱口氏 (スマホで)見る側は縦ですからね。それに合わせたアプリが多くなっているのも、世の流れだと思います。

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