「Xperia 1 V」は何が進化したのか 「Xperia 1 IV」と比較して分かったこと(1/3 ページ)

» 2023年05月15日 10時30分 公開
[金子麟太郎ITmedia]
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 既報通り、ソニーがXperiaハイエンドスマートフォンの新モデル「Xperia 1 V(マーク5)」を発表した。

 例年と同じく日本を含む世界各国で発売するが、異例ともいえるのは通信事業者向けのモデルよりも先にSIMロックフリーモデル「XQ-DQ44」の国内投入を告知したことだ。市場想定価格は19万5000円(税込み、以下同)前後と、先代の「Xperia 1 IV」(発表時の市場想定価格は17万5000円前後)より約2万円高くなった。

 そんなXperia 1 V(開発中)の実機に触れる機会を得たので、外観を中心に何が進化したのかをチェックした。

Xperia 1 V SONY ソニー スマホ 実機 Xperia 1 V

 Xperia 1 VはXperia 1 IVの流れをくむ最新モデルで、語尾のローマ数字を見ても分かるように、1シリーズの5世代目に相当する。この1シリーズはいわばハイエンドスマホを求める人向け。ハイエンドとしては1ランク下の「Xperia 5」シリーズがあるが、性能も価格も1シリーズの方が高く、ソニーの推すクリエイティビティー(創造性)を十分に発揮できるスマホだ。

広角カメラのイメージセンサーを一新 省かれた3D iToFセンサー

 まず大きな進化を遂げたのはアウトカメラ。アウトカメラは超広角(16mm/1200万画素/F2.2)、広角(24mm/4800万画素/F1.9)、光学ズーム対応の望遠(85-125mm/1200万画素/F2.3-2.8)の3眼構成で、一見すると従来通りの並びだが、中央の広角カメラのイメージセンサーを一新し、2層トランジスタ画素積層型CMOSイメージセンサーを採用。フォトダイオードとトランジスタを2層に分離したことで、光を多く取り込めることに加え、暗所でのノイズを低減できるのがポイントだ。

Xperia 1 V SONY ソニー スマホ 実機 Xperia 1 Vのアウトカメラ

 イメージセンサーのサイズはXperia 1 IVより約1.7倍大きく、比率は以前より幅広の4:3:3だ。動画における有効エリアが広いことで、手ブレ補正力が向上したという。

 加えて、4つの画素を1つとして扱う「ピクセルビニング」技術を新規採用したのもポイント。広角カメラの有効画素数は4800万画素だが、ピクセルビニングによって記録画素が常に1200万画素となる。

 さらに、商品レビューをしやすくする、ソニー肝いりの新項目をXperia 1 Vに用意。レンズ交換式でAPS-Cセンサー搭載のミラーレス一眼カメラ「VLOGCAM ZV-E10」など、一部の機種で扱える「商品レビュー用設定項目」をXperiaとして初搭載。例えば、商品レビューでいわゆる物撮りをする際、背景に近い人物ではなく、人物より手前の商品にピントを合わせやすい。これは商品レビューを頻繁にするVloggerなら必見の機能といえる。

  商品レビュー用設定項目をただ用意するだけでなく、Xperia 1 Vでは音の拾いやすさにも力を入れている。アウトカメラ付近には新たに「声優先マイク」を搭載。これまでの側面マイクでも集音できるが、声優先マイクにより自分のみならず、数メートル離れた被写体の声を拾えるという。

 ただ、必ずしも商品やフォーカスしたい人物などをアウトカメラで撮影し、その付近のマイクで音声を拾うシーンばかりではなく、アウトカメラで撮影しながらインカメラで話者の解説を入れる、という動画をよく目にするので、ここはアウトカメラと側面だけでなく、ディスプレイ面にも搭載してほしいところだ。

 ソニーとしては「フロントカメラでの自撮りのユースケースと数メートル離れるシーンは稀である」と考えており、声優先マイクをアウトカメラ付近に設けたとしている。

Xperia 1 V SONY ソニー スマホ 実機 Xperia 1 Vのアウトカメラには音を拾いやすくするためにマイクを内蔵している。左のXperia 1 IVにはマイクはない

 一方で省かれたのが「3D iToFセンサー」だ。Xperia 1 IVの望遠カメラと標準カメラの間には3D iToFセンサーがあるが、Xperia 1 Vではその姿を消した。これはセンサーから被写体に対して赤外線を発し、そこから反射した赤外線が戻ってくるまでの時間を検出。被写体までの距離を瞬時に測定できることから、暗所での高速かつ高精度AFがアピールされていたが、測定できる距離に限界があるのと、AIなどとの組み合わせで3D iToFセンサーなしでも十分な精度を保てると判断したという。

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