サムスン電子ジャパンは6月20日、「Galaxy S23 Ultra」のSIMフリーモデルを発表した。Samsungオンラインショップで同日から予約を受け付け、7月6日午前10時に発売する。価格は25万3440円(税込み、以下同)。メモリは12GB、ストレージは1TB固定で、カラーはクリームのみとなっている。
6月20日10時から7月31日23時59分までにSamsungオンラインショップでGalaxy S23 UltraのSIMフリーモデルの購入/応募を行うと、同ショップで使える1万7000円相当のクーポンが配布される。
Galaxy S23 UltraはSamsung Electonics製のフラグシップスマホ「Galaxy Sシリーズ」の最新モデルかつ最上位モデルに位置付けられる。カメラやディスプレイ、SoCを含め、全体のスペックが高いことはもちろんだが、ワコムの電磁誘導方式による「Sペン」を使ったスタイラス機能を先代の「Galaxy S22 Ultra」や「Galaxy Note」シリーズから継承している。
発表時に強調して紹介されていたカメラ、SoCに関する部分を少しおさらいする。
カメラに関しては、クアッド構成のアウトカメラ(下記)の内、広角カメラ(メイン)に約2億画素のイメージセンサーに加え、明るいレンズを備える点が大きなポイント。複数の画素(16画素4×4)を1つの画素として扱うことで、集光量をより高めるピクセルビニングを採用し、暗所での撮影に強いことがアピールされている。
カメラで取り込んだ複数のイメージを合成し、静止画像を生成するGalaxy S23 Ultraだが、イメージセンサーの画素数が多いことにより、画像処理に時間がかからないよう、SoCも強化されている。
Galaxy S23 UltraのSoCはCPUコア/GPUコア/NPU(ニューラルプロセッサ)コアの最大クロックが通常モデルよりも高い「Snapdragon 8 Gen 2」で、Snapdragon 8 Gen 1搭載のGalaxy S22シリーズと比べて、CPUコアが最大34%、GPUコアが最大41%、NPUコアが最大49%向上し、先の画像処理はもちろん、新たに加わった天体写真が撮れる機能などに、このSoCの処理能力が生かされる。
ディスプレイは約6.8型のDynamic AMOLED 2X(有機EL)で、Sペンによる手書き入力や、指紋認証に対応する。
SIMはnanoSIMとeSIMに対応している。通信規格は5G/4G、Wi-Fi 6E(2.4GHz/5GHz/6GHz帯のIEEE 802.11ax)とBluetooth 5.3も使える。バッテリーの容量は5000mAh(定格値)で、USB PD(Power Delivery)による急速充電にも対応する。Qi(チー)規格のワイヤレス充電も可能だ。
ボディーサイズは約78(幅)×163(高さ)×8.9mmで、重量は約234gとなる。IPX5/8等級の耐水/防水性能とIP6X等級の防塵(じん)性能も有している。
既にNTTドコモとKDDI(au)から販売されているキャリアモデル「Galaxy S23 Ultra SC-52D」「Galaxy S23 Ultra SCG20」との違いは次の通り。
SIMフリーモデルとau向けモデルの実機を比較すると、見た目はほとんど変わらないが、随所に違いが見られる。
まずはプリインストールされているアプリについて。au向けモデルにはauの料金確認や変更を行う「My au」、コード決済「au PAY」、会員特典などが受けられる「auスマートパス」などのいわゆるキャリアアプリがプリインストールされており、一部はアンインストールできない。キャリアサービスのユーザーにとっては後からアプリを探す手間が省けるが、必要のないユーザーにとっては厄介でしかない。SIMフリーモデルならこうしたキャリアアプリのプリインストールはなく、必要最低限のGoogle/Galaxy関連アプリのみが並ぶ。
One UIホームがプリインストールされているのもキャリアモデルとの違いで、当然ながらドコモ向けのSC-52Dで選択可能な「docomo LIVE UX」も採用していない。One UIはGalaxy向けに開発されたUI(ユーザーインタフェース)。ホーム画面には手の届きやすい位置にアプリアイコンが並び、画面中央に時計のウィジェットがデフォルトで配置されている。アプリの配列を横4×縦5、横4×縦6、横5×縦5、横5×縦6から選べる他、アイコンやステータスバーなどの色、柄が通常とは異なる着せ替えバージョンに変更できるなど、細やかなカスタマイズ性もGalaxyシリーズならではだ。
外装については、バックパネルに印字される内容が、キャリアモデルとSIMフリーモデルとで異なる。キャリアモデルの中央付近にはFeliCaロゴが印字されているが、SIMフリーモデルにはない。だからといってSIMフリーモデルがFeliCa非対応ということではなく、おサイフケータイアプリはしっかりとプリインストールされている。バックパネルの下部にはSAMSUNGロゴとIMEIが印字されており、「docomo」「au」のキャリアロゴはない。
実はこのSAMSUNGロゴ、S6シリーズからS22シリーズまでの「Galaxy」に置き換わる形で、S23シリーズで復活を果たしたロゴだ。一時期、もともとグローバルで発表されたモデルであっても、日本市場向けのモデルにはGalaxyロゴを印字していた。Galaxy S23シリーズで再びSAMSUNGロゴに戻った理由として、サムスン電子ジャパンは「日本でもGalaxyの認知度はある程度向上したこと」「SDGs(持続可能な開発目標)に対する意識が高まっており、グローバル企業としてサステナビリティ活動に取り組む姿勢を示し、Samsungという社名を前面に出していくこと」を挙げている。
もう1つのIMEIの印字については、ユーザーに対する配慮ともいえる。Galaxy製品はキャリアモデルでも場合によっては、「Your Service」を使って修理を申し込みすることがあり、その手続きの中でIMEIの確認が必要になる。その際、端末の故障により、ディスプレイを操作してIMEIの確認ができなくても、背面に印字されていれば目視できる。
この原稿を書いているとき、「Galaxy Z Flip4」のヒンジが壊れて、ディスプレイを開けなくなってしまったとき、このIMEIがバックパネルに印字されていたことで、修理の依頼手続きがスムーズにできた経験を想起した。故障時などに携帯電話の端末(個体)を識別するための番号であるIMEIは、日頃から頻繁に確認することはないだろうが、Galaxy S23 UltraのSIMフリーモデルでも背面印字の配慮があることは、苦い経験を持つGalaxyユーザーとしてはうれしいポイントだ。
Galaxy S23 UltraのSIMフリーモデルが有料保証サポート「Galaxy Care」の対象である点もユーザーに寄り添った配慮の1つといえる。Galaxy Careは画面割れや水没の際、2年間に2回まで新品同様製品との交換が可能なサービス。基本料金は月額か2年分一括払いの二者択一だが、加入しておけば有償での修理となった場合、自己負担額がサービス非加入時より割安になる。
サムスン電子ジャパンはGalaxy Careに加え、Galaxy S23 UltraのSIMフリーモデルを4世代に渡ってアップデートすること、それに5年間のセキュリティアップデートを保証している。キャリアの保証サービスに加入できないGalaxy S23 UltraのSIMフリーモデルだからこそ、Galaxy Careや長期に渡るOS/セキュリティアップデートを提供するというのが、同社なりのユーザーへの配慮なのだろう。
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