孫氏はChatGPTで毎日ブレスト、Y!mobileとLINEMOの統合は考えていない――ソフトバンク株主総会で語られたこと(1/4 ページ)

» 2023年06月21日 07時30分 公開
[石井徹ITmedia]

 ソフトバンクは6月20日、第37回定時株主総会を開催した。株主との質疑応答では、ChatGPTなどの生成AIの活用について、創業者の孫正義氏(ソフトバンクグループCEO/ソフトバンク取締役)が生成AIについて語る一幕もあった。

 前年度に引き続き、リアル会場とオンラインで同時に進行するハイブリッド開催となった。議案は4件で全て可決された。定款の改定により、社債型種類株式の発行を可能とした他、川邊健太郎氏はZホールディングスの経営に注力するため取締役から退任した。

 株主総会の冒頭、宮川潤一社長は今後の経営戦略について、5月に発表した中期経営計画をもとにプレゼンテーションを行った。

↓ソフトバンク株主総会 ソフトバンク宮川潤一社長

 重点的に紹介されたのはAIの活用だ。ChatGPTを始めとした生成AIを積極的に活用しつつ、独自のAIモデルを構築する方針が示された。

 次世代社会インフラの構築については、AIで必要とするコンピューティングリソースを賄うため、北海道と九州に新たに大型データセンターを設置し、全国に小型データセンターを配置する計画が紹介されている。また、携帯電話網では、エッジコンピューティングを活用して柔軟に電波を振り分ける「AI-RAN」という技術の導入を進めていることが紹介された。

↓ソフトバンク株主総会 生成AIの活用に焦点を当てて紹介された

 以下では、総会での株主と宮川潤一社長の質疑応答から、注目すべきやりとりを抜粋して紹介する。

携帯値下げの衝撃から2年、収益回復への秘策は? ソフトバンク決算で語られたこと

生成AI「日本で一番うまく使いこなす会社に」

 ChatGPTがブームとなる中で、ソフトバンクは生成AIの活用について前向きな方針を示している。

―― (株主)生成AIに関する取組の現況は。

宮川潤一社長 プレゼンテーションでは「AI共存社会」というテーマで言及したが、これからますます生成AIはわれわれの生活の中に浸透していきます。昨今の進化や成長を踏まえて、生成AIは我が社として積極的に取り組むべきテーマだと考えています。まずは全社員に業務の中でAIを積極的に使ってもらって、全社員がAI活用で戦力になることを目指します。

 実は、ソフトバンクは2023年の夏からコールセンター業務において生成AIを使っていました。この知見をもとに、LINEとジョイントベンチャーを設立し、生成AI事業をOpenAI、Azure、Bardなどメジャーな生成AIの活用も進めています。生成AIを日本で一番うまく使いこなす会社になりたいと考えています

―― 独自の生成AIモデルを開発する予定はあるか。

宮川社長 7月から独自の生成AIモデルについて、大規模な学習を開始します。生成AIを育成するためには投資が必要だが、コスト削減の方針もあり、のんびりしていた状況です。

 僕も毎日ChatGPTを使っていますが、OpenAIのGPT-4.0モデルの応答力は、僕の能力よりはるかに上だと感じています。

 ソフトバンクがコールセンター業務で活用している生成AIは、GPTでいえばGPT-3.0〜3.5相当の性能を有しています。大規模学習により性能面でOpenAIに追い着けるとは思っていませんが、コールセンターでお答えするのに、大学の先生のような賢い頭脳は必要ありません。用途に適した頭脳が答えればよくて、これに内製で作っているAIをあてがおうという考えです。

 ZホールディングスやLINEには生成AIの扱いに非常に長けている社員がたくさんいるので、合弁会社を作って社員を集約し、生成AIにチャレンジしています。ソフトバンクとしては、まずはとにかく一番上手に生成AIを使う会社になるのが目標です。

ソフトバンクがChatGPT対抗の“和製ChatGPT”開発表明 宮川社長「生成AIに死ぬほどポジティブ」

↓ソフトバンク株主総会 ソフトバンクはChatGPTに類似する生成AIをコールセンター業務で活用している

―― 孫さんにひと言いただきたい。

孫正義氏(ソフトバンク取締役、ソフトバンクグループCEO) 先ほど親子上場についての質問がありましたが、ソフトバンクグループにとってのソフトバンク株式会社、ソフトバンク株式会社にとってのソフトバンクグループは、双方に補完関係があり、プラスの相乗効果を持てるかが重要だと考えています。

 ソフトバンクグループは「必ずAIの時代が来る」と確信して、6〜7年前から世界中からAIの会社を探して投資してきました。投資している会社の数は500社を超えています。

 ChatGPTなどAIの注目が大きくなっています。私自身も毎日毎日ChatGPTでブレインストリーミングをしているような一人ですが、OpenAI創業者のサム・アルトマン氏とは毎週のようにチャットしていて、直接面談もしています。生成AIでものすごい革命が起きる。そのとき、革命を日本に持ちこまなければならなりません

 AI投資はいくつも失敗してきました。中には名前を思い出すと恥ずかしくなるような投資もいっぱいりました。だが、ここまで、まいた種がいよいよ開花しそうだ。非常に楽しみにしています。

 孫氏がChatGPTの仕組みについて解説する一幕もあった。

↓ソフトバンク株主総会 ソフトバンクCEOの孫正義氏

―― ChatGPTに「阪神タイガースは調子がいいか」と聞いたら、「金本監督のもとで一致団結しているから」という間違った答えがでた。このような間違いは生成AIの初期段階だから仕方ないと考えて事業を作っているのか。

宮川社長 生成AIの正確性についてのご質問と受け取りました。GPTは2.5の頃からずっと進化を続けて……。(孫氏の方を振り向き)プロがお答えするそうです。

孫氏 私が正確にお答えします。

 GPTは基本的に2021年9月までのデータがトレーニングされた状態です。トレーニングは世の中のデータをぜーんぶ学習するんですね。膨大なコンピューティングパワーや費用が必要になります。その後に(利用時には)インファレンスつまり推論が必要になる。GPTにはスムーズな表現を必要な言葉で行う知能は既に備わっています。

 学習時期の問題は一時的な問題です。OpenAIはシステム増強を行っていますが、今後は新しい情報をもとに、より正しい推論が行われるようになるでしょう。

 また逆にいえば、2021年9月までの範囲で知っている情報で推論を行わせれば、生成AIは強力です。医学の分野では米国の試験で上位10%の成績を獲得するという研究もあります。法学、化学などほとんどの分野で人間の知能をはるかに越えている存在になるでしょう。

 新しい情報を知りたいときはYahoo!検索のような検索エンジンを使うのがむしろ正しい使い方になるでしょう。検索というのは知識を知るためのものです。Googleやヤフーは知識の詰め込み型。生成AIは知恵を生むマシンだと考えると分かりやすいでしょう。

 検索と生成AIのどちらが重要か。学校でも丸暗記をしている人がたくさんいます。一方で深い知恵をもって推論する力を持っている人もいます。最後は推論する力を持っている人が重要な価値を生みます

↓ソフトバンク株主総会 プレゼンテーションでは2つの役割のAIがアイデアを練っていく思考連鎖型AIなど、具体的な使い方も紹介された
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