5Gに関しては、基地局整備が人口カバー率90%に達したことに言及した。都心部の基地局については、「AI-RAN」を活用して整備を進めていく方針を示した。
「AI-RAN」は、ソフトバンクとNVIDIA、Armが共同で開発しているモバイル通信技術だ。携帯電話には“輻輳(ふくそう)”と呼ばれる現象があり、大規模な劇場やスタジアムのイベント開催時などに、携帯電話が一時的につながりにくくなることがある。AI-RANではこうした状況を気象情報や人流、イベント情報といった外部データをもとにAIが推論し、基地局の制御を自動化する技術だ。デジタルツインとして構築した3Dマップ上で基地局を管理するため、ドローンなどの空中を移動するモバイル端末にも対応できるようになる。
ソフトバンクはAI-RANの実証事件を東京・竹芝エリアで行っている。今後は都市部を中心に構築していく方針だ。
―― 5G基地局整備の現況は。
宮川社長 2023年3月時点で6万5000局。3キャリアの中でも整備が進んでいる方だと思います。人口カバー率は90%を超えました。また、外部の調査機関からも、最も使いやすいネットワークだという評価をいただいています。今後は4G LTEと同じ水準の人口カバー率99%まで整備を進めていきます。
―― AIと6Gの連携はどのようなものになるか。
宮川社長 AIと無線インフラの連携として、AI-RANもその1つの形態です。ソフトバンクはまた、NTN(非地上系ネットワーク)と呼ばれる、衛星を使った空からの通信、HAPSでの通信、ドローンでの通信の開発も進めています。
これまで2次元の面で展開していたモバイルネットワークは、3次元的に展開する“空間多重”の状態になります。これをコントロールするにはAIが必要です。ハードウェアとしても、基地局の装置1つずつにAIの頭脳が埋め込まれていく必要があります。他社さんも頑張っていますが、ソフトバンクも技術開発を相当進めています。
―― AI関連の設備投資は負担にならないか。
宮川社長 モバイルネットワークでは、汎用(はんよう)サーバを用いるため、今までの携帯電話網に最適化された設備投資よりもコストが抑えられます。公表している3300億円の設備投資金額の範囲で消化できます。
データセンターについては、全ての施設を建設する上では10年化かかります。Core Brain 九州は既に着工済みで、Core Brain 北海道は2023年に着工する予定です。国のプロジェクトとして進めているので我が社の支出は多くない。今後3年間での投資では、我が社の出資分は100億円程度と軽微です。生成AIのモデル開発についての投資金額は100億円程度で、投資金額としては軽微です。
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