さて、フォルダブル端末もタブレット端末も「Googleの出すレファレンス端末」がなかったことが、今回のPixelシリーズの発売につながったものと考える。
このレファレンス端末の存在はユーザーよりも端末メーカー、はたまた「アプリ開発者」にとって大きな追い風になる。特に日本ではGoogleの力は強く、Pixel Foldはフォルダブル端末として初の「大手3キャリア展開」を勝ち取った商品となる。
開発者としても最新の物理環境で動かせる点はもちろん、Googleのマルチタスクなどの考えに沿って実装させれば、基本仕様に準拠した他社の端末でもおおむね動作できる保証にもなる。
特にタブウィンドウの挙動、フォルダブル端末のカバー画面の挙動など、現時点ではメーカー独自実装となっている部分も多くある。これがOSレベルである程度共通化されれば、アプリ開発者が各機種に無理やり合わせる必要もなくなるのだ。
Pixel Foldで示した「カバー画面に翻訳画面を表示する」ものは、メイン画面とカバー画面を同時に利用する提案となった。アプリ側でこのような提案をしてくることで、スマートフォンの新たな利用方法を模索するきっかけにもなる。
タブレットに関しても大画面UIとスマホUIをうまく最適化させる基本的な部分を作れば、動画視聴アプリなどは簡単な最適化だけで、かなり快適になるはずだ。他社では先行実装されているものでも、Googleが最適化を行うだけで意味は大きく変わる。
このタイミングでGoogleがフォルダブルとタブレット端末のレファレンスを出してくる意味は、これらの端末で多かったメーカーの独自実装の部分を、ある程度OS仕様に落とし込んで共通化させることにある。
これにより、どんな機種でもよりいい体験を提供できるようになる。スマホを便利に利用するアプリの開発も「フォルダブル端末向け」「タブレット端末向け」にもっと注力して行われるのではないかと考える。
このような流れは将来のキラーコンテンツ、数年先の「当たり前」を作るきっかけとなる部分だ。Googleが発売したフォルダブルとタブレット端末。これらの登場によってさらなる市場の発展を――今では想像できないスマートフォンのイノベーションにも期待したい。
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