最近、マイナンバー(個人番号)カードに関するニュースを耳にしない日はありません。特に、同カードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」については、保険者の情報登録ミスに起因するトラブルが相次いでいます。
そんな中、主に高齢者がマイナ保険証として利用することを想定して、11月をめどに「暗証番号設定のないマイナンバーカード」の発行を開始できるように検討が進められています。
SNSの反応を見ると「ここまでやって保険証をマイナンバーカードに統合する意味が分からない」という声を見かけます。しかし、本当に意味のないことなのでしょうか……?
まず、そもそも論として、マイナンバーカードのICチップには、どのようなデータが搭載されているのでしょうか。箇条書きすると、以下の通りです。
(※1)利用者証明用電子証明書、券面事項入力補助AP、住基カードAPの暗証番号はそれぞれ個別に設定可能(同じにしても構わない)。ただし、自身の生年月日やセキュリティコード(カード表面にある4桁の数字)は設定できない
ICチップには上記以外の情報は搭載されていません。勘違いしている人も多いのですが、マイナンバーカード自体は健康保険証としての情報を持ち合わせていないのです。
マイナンバーカードのICチップに搭載されているのは「券面AP」「JPKI-AP」「券面入力事項補助AP」「住基AP」「条例利用AP」の5種類のデータで、それ以外のデータは一切保存されていません(総務省のWebサイトより)繰り返しですが、マイナンバーカード自体には健康保険証としての情報は搭載されていません。「じゃあ、どうやって健康保険証として機能するの?」という疑問に対する答えは、健康保険の「オンライン資格確認」という仕組みです。
オンライン資格確認の大まかな流れは以下の通りです(既に「マイナポータル」での登録が済んでいることを前提としています)。
この一連の流れによって、マイナンバーカードの保有者は被保険者本人なのかどうか、被保険者はどのような健康保険に加入しているのか(していないのか)を即座に確認できます。この際に、医療機関にはマイナンバーは伝わりません。
マイナ保険証における「オンライン資格確認」の流れ。マイナンバーそのものではなく、マイナンバーカードにある本人確認情報を使って照会を行っているので、医療機関にマイナンバーが伝わることはありません(厚生労働省の資料より:PDF形式)最近ニュースで話題の「他人の情報が表示される」「資格情報なし(≒保険未加入)と表示される」問題は、保険者が支払基金/国保中央会に登録する情報に誤りがある(または速やかな情報変更を怠っていた)ことが原因です。これはマイナ保険証固有の問題ではなく、現行の健康保険証でも、オンライン資格確認を行うと起こり得ます。
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