写真アプリを使って「あとからピントを合わせる場所を変えられる」ようになった。
「ポートレート」で撮った写真は、写真アプリ上でピントを合わせたい場所をタップするだけで、そこにピントの山がくる。
取りあえず「ポートレート」で撮っておけ……的なアバウトな撮影も可能になるし、撮った後でフォーカスを細かく調整したいときもいい。
ただし、どこにでも合うわけじゃない。
そもそも普通に撮影した場合でも近距離のものを撮ると背景はボケる。ポートレートモードで撮った写真の元画像はその「普通に撮った写真」なので、ピントが合っているとこを後からボカすことはできても、元写真でボケているところに合わせることはできないのだ。
その辺は念頭に置いておくべし。
ただ、デジタルカメラの世界ではわざと手前から奥までピントが合っている写真を作るために、少しずつピント位置をずらしながら複数枚撮影して合成することで、わざとピントの合う範囲が広い写真を作るという深度合成技術もある。いずれスマートフォンがその技を搭載して、ガチで「撮った後、好きなとこにピントを合わせて他をぼかせる」機能を搭載してくるかもしれない。
ではいよいよiPhone 15と15 Proの違いの話だ。
作例と一緒に見ていこう。
まずは超広角レンズから。どちらも「超広角カメラ」は1200万画素でカメラアプリ上の表記は「0.5x」。でも実は使っているイメージセンサーとレンズが違う。
iPhone 15とPlusは前モデルと同じで「レンズがF2.4」で固定フォーカス式(つまりAF機構は付いていない)。
iPhone 15 ProとPro MaxはiPhone 14 Proと同様レンズがF2.2でAF搭載。しかも、iPhone 15やPlusよりイメージセンサーサイズも大きい。でも実際の撮影ではセンサーサイズの差は気にしなくていいレベルだ。
カメラは広角になればなるほどピントの合う範囲が深くなるので、風景写真だと違いは全然ない。ただ、超近距離の写真になると差が出る。こんな感じだ。
AFが付いているので近距離でもピントが合う(そのとき背景はぼける)iPhone 15 Proと、フォーカスが固定なので広い範囲にピントが合うが近すぎるとボケるiPhone 15 Plusだ。
まあ、通常の撮影なら固定フォーカスでも問題ないのだけど、iPhone 15 Proの場合、超広角カメラの至近距離フォーカスを利用したマクロモードを持っていて、それで使うのだ。
マクロモードはProの優位性である。
しかも、超広角で撮った写真から24mm分や48mm分(2xの場合)を切り出して1200万画素サイズにデジタルズームかけているので画質は落ちるのだけど、このクオリティーはかなり頑張っていると思う。
次はメインカメラだ。
メインカメラはどちらも4800万画素だが、iPhone 15 Pro/15 Pro Maxの方がセンサーサイズがちょっと大きく、基本感度もう少し高い(iPhone 15/15 PlusはISO50、iPhone 15 Pro/15 Pro MaxはISO80)。Proの方がワンランク上のセンサーを搭載しているということだ。
レンズの焦点距離もiPhone 15/15 Plusは従来通り35mm判換算で26mm相当だが、iPhone 15 Pro/15 Pro Maxは前モデルから24mm相当だ。比べると、iPhone 15 Proの方がちょっとだけ広い範囲が写っているのが分かる。
続いて2x望遠比較。iPhone 15/15 Plusもセンサーが48MPになったことで2x望遠を搭載してきたのだ。2x以上は従来通り12MPサイズとなる。
2xって人物撮影時に非常にいいのでそれでも比較だ。ポートレートをオンにして撮ったが髪の毛の細かい処理とか以前より格段に自然になっているのが分かるかと思う。
さらにちょっと暗い場所でも比較。夜の電話ボックスなのだけど、iPhone 15 Plusの方がシャッタースピードがちょっと遅くなった。ISO感度をあまり上げないことでクオリティーを維持していこうという設計になっているのだと思う。
次は3x望遠対決。普通に考えて3xの望遠カメラを持っているiPhone 15 Proの方が強いんだけど、もしiPhone 15/15 Plusの3xデジタルズームが十分使えるレベルだったら、Proにしなくてもいいじゃん、って人でるかもしれないよね。
iPhone 15 Proの3x望遠カメラは77mm相当でF2.8。ベースISO感度はISO32でまあ、超広角カメラよりちょっとセンサーは小さい……つまりカメラとしてそこまで高性能じゃない。
では両者の差がどのくらいあるか調べてみよう。
もちろん、iPhone 15 Proの方がディテールはしっかり出ているのだけど、iPhone 15 Plusだって十分使える。iPhone 15/15 Plusのみなさま、ガシガシ望遠も使ってください。
つまるところ、今回のiPhoneは「コンピュテーショナルフォトグラフィーのレベルが上がっている」といっていいかと思う。
短期間の試用だったので断言はできないけど、今までのiPhoneってデジタルズーム時の画質がいまひとつだったのだけど今回のはかなりいいのだ。
じゃあどこまでいけるかな、とiPhone 15 Proの3x望遠カメラを目いっぱいズーミングして15x望遠(404mm相当)である。
もちろんデジタルズームならではの塗り絵っぽさは出ちゃうけど、前モデルよりは明らかによくなっている。
まあ、iPhone 14 ProとiPhone 15 ProのPro同士の比較は別記事でやりますのでお待ちあれ。
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