ここで新たな時代の流れとして「5G」というキーワードが出てくる。従来の4G回線に比べてさらに大容量、高速に通信できる5Gでは単なる動画視聴のみならず、複数ウィンドウでのマルチアングル視聴、4Kなどの高画質、高解像度なオンラインゲームのプレイなどに生きてくるものだ。
そんな5G時代の幕開けと同じくして、この新時代にふさわしい端末としてサムスンが世に放ったのが、折りたたみの「Galaxy Fold」だ。この端末は大画面での動画視聴よりも、画面分割を用いて複数のアプリを動作させることに主眼が置かれている。そのため、動画の視聴だけで評価すれば、従来のファブレットの方が表示面積では大きく、比較すると優位に立てる場面が多い。
そして、このような端末が生まれる要因といえるものがコンテンツの変化だ。「X(旧Twitter)」「Instagram」といった縦画面で閲覧するSNSの台頭。TikTokやYouTube Shortをはじめとした「縦動画」コンテンツの存在は大きい。
SNSの場合、画面のアスペクト比が縦長の方がより多くの情報を表示できるため、端末側も時代の変化に対応した形となった。縦動画については数年の間で普及し、多くのユーザーに利用されるようになった。そのため、端末のベゼルレス化と合わせて端末も縦長になっていった部分も、このようなコンテンツの登場による市場の変化に応えたものとなる。
前述のGalaxy Foldでは動画を見ながらコメントを追いかけたり、動画を視聴したりしながらWebブラウジング、SNS閲覧といったスマートフォンよりもPCに近い新しい視聴体験にかじを切り始めた。そのような意味では、16:9比率の従来のスマートフォンよりも、折りたたみにして展開時に正方形に近いアスペクト比の方がより大きく効率的なレイアウトが可能になっている。
Galaxy Foldが出てから各社の対応は早かった。HuaweiやXiaomiがこの手の端末を展開し、2023年はGoogleがPixel Foldを発売するなど、これからのスマートフォンは「折りたたみ」が1つ主流になりそうな風潮すら見受けられるようになった。
そんな折りたたみスマホでも各社でさまざまな差別化が行われており、これについては展開時の画面を動画視聴などにも重きを置いた機種が出ている、具体的にはPixel FoldやOPPO Find Nシリーズなどが該当する。
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