生成AIの処理も可能になった「Snapdragon 8 Gen 3」 スマホの競争軸は新たなステージに石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

» 2023年10月28日 09時00分 公開
[石野純也ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

生成AIで進化するスマホ、メーカーはキャッチアップできるか

 ただ、こうした生成AIによる画像処理は、ディープフェイクと紙一重。生成AIが普段使っている機能に溶け込んでいき、身構えずに使えるようになると、意図せず、フェイク写真/動画をネットにばらまいてしまうことになりかねない。こうした事態への対策として、QualcommはSnapdragon 8 Gen 3で「C2PA」を採用。これは、画像の来歴や編集過程を残すための業界共通規格。一部のデジタルカメラやPhotoshopなどの編集アプリも、これに対応している。

Snapdragon 8 Gen 3 写真や画像の由来、履歴を確認できるC2PAに対応する

 例年同様、Snapdragon 8 Gen 3も発表と同時に多数のメーカーが採用を表明している。日本市場でおなじみのソニーやXiaomi、OPPO、モトローラに加え、Huaweiから独立し、欧州やアジアで存在感を高めているHonorや、Vivoなど、おなじみの面子のスマホが出そろうことになる。

 2023年は特に動きが早く、XiaomiはSnapdragon Summitの基調講演で26日(現地時間)に発表されたフラグシップモデルの「Xiaomi 14」をチラ見せ。Honorも翌日のイベントにCEOのジョージ・ジャオ氏が登壇し、Snapdragon 8 Gen 3上で同社の大規模言語モデルを活用したAIアシスタントが動く様子を紹介している。このデモでは、ユーザーがスマホに話しかけ、アシスタントから提示された選択肢を選ぶだけで、動画の選択や編集が完了してしまう。

Snapdragon 8 Gen 3 Xiaomiは、会期初日の基調講演でSnapdragon 8 Gen 3を内蔵したXiaomi 14を披露。世界最速での端末公開になった
Snapdragon 8 Gen 3
Snapdragon 8 Gen 3
Snapdragon 8 Gen 3 会期2日目のセッションでは、HonorのCEOがSnapdragon 8 Gen 3上で動くAIアシスタントを紹介。AIと会話するだけで、動画が自動で編集される。難しいアプリの操作などは不要だ

 AIを活用した機能は、Snapdragon 8 Gen 3で突如として登場したわけではなく、これまでも各社が注力していた。実際、AppleはiPhone X以降、Aシリーズのチップに「Neural Engine」を搭載し、その性能を強化するとともにAIを生かした機能を増やしている。Googleも同じで、先に挙げたPixel 8/8 Proは、編集マジックなどの機能で生成AIをスマホ側に取り込んでいる。年末から2024年にかけてのスマホは、そんな機能がもっと当たり前になりそうだ。

 とはいえ、ここで紹介してきた機能は、あくまでQualcommやそのプロセッサを採用する一部のメーカーが示した“デモ”にすぎない。製品としてスマホに実装するかどうかは、その端末を開発するメーカー次第だ。あえてAIを搭載しないメーカーもあれば、技術力や開発のためのリソースが足りず、搭載を見送らざるを得ないメーカーも出てくる可能性がある。

Snapdragon 8 Gen 3
Snapdragon 8 Gen 3 Xiaomiは2016年からAIの研究開発に注力しており、人員は3000人を超える。R&Dへの投資も年々拡大している。AI時代のスマホは、このようなソフト開発力がものをいう可能性も

 例えば、Xiaomiは、Snapdragon Summitのイベントで、2016年から7年に渡って長期的にAIの研究開発に取り組んできたことを紹介。AIに従事するスタッフは、3000人を超えているという。Honorも、Huaweiからスピンアウトした企業であるだけに、独自機能の開発に積極的だ。ただ、こうした動きにきっちり追随できるメーカーは、そこまで多くないだろう。新規参入のハードルもさらに高まる。AIを処理する能力が高まるとともに、メーカー同士の実力差がさらに顕在化しそうな印象も受けた。Snapdragon 8 Gen 3は、そのトリガーになるプロセッサといえる。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年04月02日 更新
  1. 大手キャリアが改定した「端末購入プログラム」の賢い活用法 Y!mobileやUQ mobileも狙い目 (2026年03月31日)
  2. d払い、dポイントのキャンペーンまとめ【4月1日最新版】 最大24%還元や10万ポイント還元のチャンスあり (2026年04月01日)
  3. NTTドコモが金融事業を7月1日付で再編予定 事業と関連株式を新設子会社に移管 (2026年03月31日)
  4. Snapdragon 6 Gen 1を搭載したSIMフリーAndroidスマホ「OPPO Reno13 A 5G」がセールで3万8232円に (2026年03月31日)
  5. ケーブルを持ち歩く手間を省ける大容量モバイルバッテリー「Anker Power Bank (25000mAh)」が30%オフの1万490円に (2026年03月31日)
  6. 最大45dBのノイキャン搭載イヤフォン「Nothing Ear (a)」、Amazon 新生活セール Finalで1万円以下に (2026年04月01日)
  7. 飛行機の機内エンタメもワイヤレス化できるワイヤレスイヤフォン「JBL TOUR PRO 3」が25%オフの2万7000円に (2026年03月31日)
  8. 楽天モバイルのルーター「Rakuten WiFi Pocket 5G」レビュー:通信速度はどう? 他社のeSIMで使う方法も解説 (2026年03月27日)
  9. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  10. 車内での通信制限を気にせず動画を楽しめる「Pioneer 車載用 Wi-Fi ルーター DCT-WR200D-E」が22%オフの1万7682円に (2026年04月01日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年