auとソフトバンクは“金融連携”プランが好調、ドコモはどう出る? 料金競争は新たな局面へ石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2023年11月18日 10時00分 公開
[石野純也ITmedia]

減収が続くドコモだが、端末販売やコスト削減で利益は確保

 対するドコモは、まだ減収が止まっていない。上期の営業収益は1兆6703億円で、前年同期比140億円の減収。これは、「お客さま還元(料金値下げ)の影響」(代表取締役社長 井伊基之氏)だ。一方で、営業利益は3353億円と、82億円の増益で着地している。増減要因を見ると、モバイル通信サービス収入は減少している一方、デバイス販売の収益改善やコスト効率化が290億円分寄与していることが分かる。井伊氏も、「アップセルや各種コスト効率化によって82億円の増益になった」と語る。

ドコモ コンシューマー事業単独では140億円の減収。一方で、営業利益は82億円の増益だ

 ただ、ドコモもeximo、irumoといった新料金プランの導入が効果を発揮しているようだ。5Gギガホ プレミアをeximoにリニューアルした結果、「認知はまだまだ途上だが、eximoを選択する方の比率が増加している」(同)。減少傾向にあったAPRUも底を打ち、第2四半期(7月から9月)には、4000円と第1四半期(4月から6月)の3990円から10円の増加に転じた。一方で、低料金のirumoは、他社サブブランドへの流出を防ぐ効果が出て、「ポートアウトが改善できている」(同)という。

 料金プラン刷新当初は、当初は価格の安さから「irumoの人気が先行したが、1カ月、2カ月たつとeximoの人気が出てきた」(同)。eximoは「サービスミックスでイエナカのhome 5Gや、映像サービスをセットで買っていただける」(同)効果もあり、これも収益の増加に貢献している。ドコモは4月にNetflixやDisney+、Leminoといったサービスの契約でdポイントが還元される「爆アゲ セレクション」を開始したが、このサービスとeximoの相乗効果が出てきていることがうかがえる。

ドコモ 新料金プランのirumoやeximoが効果を発揮し、サービスのクロスユースも進んでいるという

 新料金プランの導入は、「ドコモショップへの来店数増加」(同)にも寄与した。結果として、「端末販売数の増加に貢献している」(同)といい、この部分が収益を下支えした。スマホの総出荷台数は、上期で過去最低を記録しているものの、ドコモは第2四半期だけで255万9000台を販売(タブレットも含む)。前年同期の268万3000台や、2年前の302万8000台より数は減っているが、第1四半期の231万900台からは回復していることがみて取れる。料金プラン変更でショップを訪れたユーザーに対し、「『端末の取り換えはいかがですか』と干渉するきっかけになった」(同)のがその理由だ。

 キャッシュバックを大幅に出すと、販促費が増加し、利益には貢献しないが「機器販売の利益率が改善したのは、過度な値引きをしないことをやったから」(同)だという。「それによって売れ行きも若干悪くはなるが、結果的に増益につながった。数が多少減っても利益が出る水準で売ることを徹底した」(同)というのが、ドコモの戦略だ。こうしたスタンスのため、端末購入補助の上限値上げと、単体値引きの規制に関しても「総務省のご提案はリーズナブル(合理的)」という見解を示している。

ドコモ 端末の販売やコスト効率化が利益拡大に寄与している

 改善の兆しが見えるドコモの各種指標だが、通信品質の低下が取り沙汰されているのは懸念材料といえそうだ。既に同社は改善に向け、300億円を前倒しで投じて対策を打つことを表明している。品質低下が長引いてしまうと、ユーザー離れにもつながりかねないだけに、持株会社のNTTも含めて危機感が高まっている状況だ。井伊氏も、「キャッチアップにとどまるのではなく、ご満足いただける改善を進めていきたい」と語り、対策を加速させていく方針を打ち出した。品質検知のため、ユーザーの電波状況を取得するアプリも、当初は「ドコモスピードテスト」のみだったが、「必要なアプリ数を増やしていく」とした。

ドコモ 通信品質はドコモの売りなだけに、改善が急務だ。井伊氏は、品質検低下エリアを検出するためのアプリを増やすことも明かした

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