KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルがXで共同声明 NTT法廃止は「オープンな場での丁寧な議論が必要」

» 2023年11月20日 20時25分 公開
[田中聡ITmedia]

 KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルが、Xの公式アカウントでNTT法廃止に関する意見を投稿した。内容は3社とも同じく以下の通り。

 NTT法のあり方についてSNSでも議論が高まっています。NTT法廃止の場合、主に3つの懸念があります。NTT法で担保されている国民の利益が損なわれないようにすることが重要です。日本の未来のために、拙速な結論とならないようにオープンな場での丁寧な議論が必要です。

 NTT法が廃止された場合、以下の3点が懸念されると3社は訴える。

  • 国費で作られた光ファイバー網を完全民営化が進んだNTTが独占するとともに、NTTグループの一体化、強大化が進むことで、競争が停滞する懸念
  • (不採算地域で)NTTのサービス撤退が可能になり、地方などのサービス維持ができなくなる懸念
  • NTT株式の多数を外国が保有することで、通信インフラの安全保障を損なう懸念

 また、KDDIの高橋誠社長は、この投稿を引用する形で、自身のXアカウントで以下の投稿をしている。

 3社公式アカウントでNTT法廃止について意見投稿しました。そもそも防衛財源の話がなくなったのであれば、NTT法を廃止する必要があるのか?

電気通信行政の長である総務大臣が「NTT法廃止ありきではない」とご発言されたことは大変意義深い。

 国民の利益に影響を及ぼすため是非オープンな議論を。

 NTT法を巡っては、廃止すべきとするNTTと、廃止には断固反対だとする競合3キャリアで真っ向から意見が分かれており、XでもKDDIの高橋社長、ソフトバンクの宮川潤一社長、楽天グループの三木谷会長が意見を投稿。さらに、三木谷氏の「『NTT法を廃止』して、国民の血税で作った唯一無二の光ファイバー網を完全自由な民間企業に任せるなど正気の沙汰とは思えない」という投稿に対して、NTT広報室が「保有資産は最終的には株主に帰属するのでこの主張はナンセンス」と異例の反論を行い、先行きの見えない事態に陥っている。

 NTT法の在り方については、自民党内のプロジェクトチームで議論が行われているが、詳細な内容は公表されていない。NTTやその他通信事業者を交えた議論は行われておらず、総務省がその陣頭指揮を執るといった動きも見られない。果たして「オープンな議論」は実現するのだろうか。

NTT法 鈴木淳司総務大臣は、11月17日に記者会見で「NTT法は廃止ありきでないと思っている」とのコメントをした
NTT法 NTT側は、NTT法の規制は電気通信事業法でも規制できるとのスタンスだが、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルはそれは不可能と反発している

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年12月07日 更新
  1. ヨドバシ通販は「高還元率で偽物リスク低い」──コレが“脱Amazon”した人の本音か (2025年12月06日)
  2. 「健康保険証で良いじゃないですか」──政治家ポストにマイナ保険証派が“猛反論”した理由 (2025年12月06日)
  3. NHK受信料の“督促強化”に不満や疑問の声 「訪問時のマナーは担当者に指導」と広報 (2025年12月05日)
  4. ドコモも一本化する認証方式「パスキー」 証券口座乗っ取りで普及加速も、混乱するユーザー体験を統一できるか (2025年12月06日)
  5. 飲食店でのスマホ注文に物議、LINEの連携必須に批判も 「客のリソースにただ乗りしないでほしい」 (2025年12月04日)
  6. 楽天の2年間データ使い放題「バラマキ端末」を入手――楽天モバイル、年内1000万契約達成は確実か (2025年11月30日)
  7. 楽天モバイルが“2025年内1000万契約”に向けて繰り出した方策とは? (2025年12月06日)
  8. 楽天ペイと楽天ポイントのキャンペーンまとめ【12月3日最新版】 1万〜3万ポイント還元のお得な施策あり (2025年12月03日)
  9. ドコモが「dアカウント」のパスワードレス認証を「パスキー」に統一 2026年5月めどに (2025年12月05日)
  10. Amazonでガジェットを注文したら、日本で使えない“技適なし製品”が届いた 泣き寝入りしかない? (2025年07月11日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー