Space Compass、NTTドコモ、日本電信電話(NTT)、スカパーJSATは12月7日、成層圏を飛行するHAPS(高高度プラットフォーム)とスマートフォンの直接通信の早期実用化に向けて、システムの開発を加速していくと発表した。合わせて、実用化後の利用拡大を見据えた超高速化技術の研究開発を始めた。
本開発は、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下、NICT)が公募する「革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業」に採択されて取り組むもの。
4社はこれまでBeyond 5Gの実現に向け、空・海・宇宙などあらゆる場所へ通信サービスを提供する「超カバレッジ拡張」の検討を進め、HAPSを含む非地上ネットワーク(Non Terrestrial Network)と呼ばれる宇宙RAN(Radio Access Network)の構築に向けた研究開発を行ってきた。
中でもHAPSは、成層圏から空・海・地上に向けて通信サービスを提供でき、災害対策への活用の他、離島や山間部、海上などのエリア化、それによるドローンや船舶などの利用範囲拡大が見込める。
本開発は、成層圏を無人飛行するHAPSを介し、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末へ直接通信サービスを提供するシステムの早期実用化と高度化を目的に行われる。4社は、成層圏のHAPS機体と携帯電話が直接通信できるように、日本国内で実証実験を行うことを目指す。
また、Beyond 5G時代におけるHAPSの普及とユースケースの拡大を図るため、携帯端末とHAPS間の通信(以下、サービスリンク)の高速大容量化やHAPSと地上GW局間の通信(以下、フィーダリンク)を途切れさせない技術の実現、TDD周波数帯の活用など、システムの高度化を目的とする開発に取り組むという。
ドコモは、今回の取り組みに関する内容を、2024年1月17日から開催の「docomo Open House24」の「5G Evoloution & 6G」コーナーで展示する。
4社の役割は次の通りだ。
2025年度中に開始を目指すHAPS通信サービスの事業化を見据え、本開発を代表研究者として取りまとめる。また、将来のHAPS通信サービスのユースケース拡大に向けた要件定義や実装技術の開発を行う。
「5G Evolution and 6G」に向けて、HAPSを含むNTN(非地上系ネットワーク)で移動通信事業のカバレッジを空・海・宇宙へ拡張することを目的に本開発を推進する。主にサービスリンクの高効率化/大容量化を実現する携帯事業者向けの地上設備、HAPS搭載型の基地局開発などを行う。
主にHAPSのフィーダリンクにおけるサービス品質の向上のための制御技術を確立する。Beyond 5G 時代の IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)戦略として、宇宙空間の ICTインフラ基盤の実現に向けて、地上網と統合した NTN の技術を確立し、付加価値を提供することで社会に貢献する。
主にフィーダリンクの代替方式(衛星バックホール、地上GWのマルチ接続による接続率向上など)について開発を行う。Beyond 5G時代の宇宙事業戦略として衛星とHAPSを一体としたネットワークを地上系の複数ネットワークとつなげて、さまざまな付加価値を提供するNTN事業を目指す。
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