個人間送金を活性化させる上でPayPayが着目したのが「お年玉」。お年玉はいまだ現金でのやりとりが主流だが、「そのままの形ではなく、PayPayがアップデートを掛ける形で新しい文化を作っていきたい」と藤井氏は意気込む。
PayPay調べによると、お年玉の市場規模は2024年に5236億円に達する見通し。送る人は3702万人、送る人数は平均3.07人、送る金額は平均4631円というデータも出ている。また、お年玉を渡す相手は自分や親戚の子どもにとどまらず、親に渡す、兄弟や姉妹で渡す、職場関係の人に渡すケースもあることが調査で分かったという。
同じくPayPay調べによると、38%がお年玉をキャッシュレスでもらいたいと回答し、そのうち、89%がPayPayでのお年玉を希望したという。キャッシュレスでのお年玉は味気ない、抵抗があるという意見が大半かと思いきや、キャッシュレスが浸透したことで、抵抗を覚える人は減りつつあるようだ。
PayPayのお年玉では専用のポチ袋を用意し、メッセージを添えられるようにしている。ポチ袋に手書きのメッセージを添えるのは手間がかかるので、ここはPayPay送金のメリットといえそうだ。「日頃の感謝や言葉を付けると後々残る。感情を伝えられることをメリットに変えていきたい」(藤井氏)
ただしポチ袋のデザインは1種類しかなく、増加したり、有料のコンテンツを用意したりする予定は今のところないとのこと。個人間送金の画面デザインは複数用意しているので、ポチ袋のコンテンツは今後拡張が期待できそうだ。
PayPayを使った年始の送金は毎年伸びており、お年玉として送っている人が多いことがうかがえる。「PayPayがお年玉の在り方、ありがたみを変える。今年のお年玉はPayPayという形で伝えていきたい」「現金を駆逐していくことにこれからもトライしていきたい」(藤井氏)
PayPayのユーザーは「20〜40代の割合が高い」(藤井氏)一方で、18歳以下やシニアにはまだ浸透していない。今回はお年玉くじでは、親から子どもに送金する流れを作ることで、若年層のPayPay使用率向上が期待される。お年玉やお小遣いをPayPayでもらうことが当たり前になれば、今後開始される見込みのデジタル給与払いにPayPayを活用するシーンも増えそうだ。
ただ、お年玉くじは2024年1月14日で終了するので、個人間送金を活性化させるには、恒常的な施策が必要になるだろう。藤井氏は今回のキャンペーンについて「ブラッシュアップして来年度以降も新しい施策を追加する」と話しており、忘年会、歓送迎会、大型連休など、2024年は送金が増えそうなタイミングでのキャンペーンがさらに増えることが期待される。
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