折りたためる携帯電話で気になる、音声通話についてもチェックしたい。通話アプリはGoogle標準のアプリが入っており、当然ダイヤルでの発信に対応している。ただ、こちらも基本的にはスマートフォン向けに設計されているため、物理テンキーはあるが、アプリにもダイヤルパットが表示される。
機能としては指定番号からの着信を拒否できる「電話番号のブロック」や、「ただいま電話に出られません」「折り返しご連絡いたします」などの定型文から状況に適したものを選び、相手に対して通話できない旨を伝えることが可能だ。音声でもメールでもなくSMSで定型文を使った返事ができるようだ。
公衆電話など非通知番号からの着信拒否は行える。通話アプリの「設定」→「ブロック中の電話番号」の順に進み、「不明な発信者」の項目右にあるボタンをタップすれば発信元を特定しづらい電話番号からの着信を拒否できる。
一方で、電話に応答できないときに応答メッセージを自動再生して、相手の音声を録音できる「伝言メモ」(簡易留守録)には対応しない。
せめて誰がどのような要件でかけてきたのかだけでも把握したい、という場合はソースネクストが提供している「スマート留守電」アプリ(Android版:月額360円、iOS版:月額319円)などを代用するとよい。このアプリは音声通話の録音だけでなく、録音内容を文字に起こして、メールやLINEなどに転送できる。
他にNTTドコモなどのキャリアが提供する有料の留守番電話サービス(※)を使う手もあるが、留守番電話センターへは1417などと入力して発信し、音声ガイダンスに従って操作しなければならない。複数の伝言がある場合は新着順に確認する必要があるため、これらの手間を考えると、アプリを代用した方がよいだろう。
本製品を、音声通話メインで利用することを考えている人は、これらの点に留意しよう。
(※)ソフトバンクは無料版と有料版がある。
ここで、音声通話やデータ通信についてのスペックも触れておきたい。本製品は国内大手3キャリアが持つ4G LTEバンドのB28(プラチナバンド)に対応するが、NTTドコモのFOMAプラスエリアや、楽天モバイルの「UN-LIMIT」プランには対応しない。ただ、関東圏内の自宅や都内でドコモ系MVNOのSIMを刺して使っていた限りでは、圏外エリアが多いなどの不満は感じなかった。
冒頭でも触れた通り、本製品は型はガラケー、中身はスマホ、というキャッチコピーが付けられており、スマートフォンライクに使うことも可能だ。そのため、性能面を気にする人もいるだろう。
本製品のプロセッサはMediaTekの「Helio G85」。国内で販売されているスマートフォンでは、Xiaomiの「Redmi 12C」やモトローラの「moto g31」が本製品と同じプロセッサを搭載している。
CPUやGPUなどの性能を確認できるベンチマークアプリ「Geekbench6」での結果は、シングルコアスコアが413、マルチコアスコアが1335となった。ミッドレンジクラスのプロセッサであるため、総合的に高いスコアとはいえない。
それだけにハイエンドクラスのプロセッサを搭載したスマートフォンを日頃から使いこなしている人からすれば、レスポンスの遅さがかなり気になるだろうし、重たいゲームのプレイには間違いなく向かないはずだ。とはいえ、物理ボタンが付いて小さいディスプレイを備える本製品は、WebサイトやSNSの閲覧程度ならそれほどストレスなくこなせる。
本製品はフォーチャーフォンでもWebブラウザやSNSなど、スマートフォン向けのアプリを利用したい、という要求に応える。特にMNO向けの「4G LTEケータイ」(ガラホと呼称されている製品)は、発売当初はLINEに対応していてもバージョンアップができないことを理由にサポートが打ち切られてしまう、あるいは発売時点でLINEに対応しない事例が多い。
実際、NTTドコモの「DIGNO ケータイ KY-42C」や、KDDIのG'zOne TYPE-XX、ソフトバンクの「AQUOS ケータイ4」など、 MNOが販売している最新の4G LTEケータイでもLINEは使えない。仮に使えたとしても、タッチパネルは非搭載のため、ボタン操作では使いづらいだろう。
そういった意味では、タッチ操作に対応する本製品がAndroid 13をプリインストールし、LINEアプリを使える点は大きなアドバンテージになるはずだ。ただ、iPhoneやGoogle Pixel 8シリーズのようにOSバージョンアップやセキュリティ更新の長期的な保証が見込めないため、本製品でいつまでLINEなどのアプリを使い続けられるかは不透明だ。
使い勝手については、ただ単に「スマートフォン向けのAndroid OSを折りたたみケータイに搭載した」感が否めず、もうひと工夫欲しいところ。G'zOne TYPE-XXユーザーの筆者でさえも操作にすぐに慣れなかったので、フィーチャーフォンから乗り換えた人はもっと戸惑うはずだ。
もう1つ、要注意点として触れておきたいのは、耐久性についてだ。本製品は、防水・防塵(じん)性能は搭載していないため、水回りなどでは安心して使えない。
フィーチャーフォンとスマートフォンの要素を取り入れた本製品。mineoがソフトバンクによる3G停波まで2カ月を切ったタイミングで取り扱いを発表したことから、ソフトバンクとNTTドコモの3G停波に向けて、4G LTE端末への乗り換えを促す役割も担いそうだが、先に触れた使い勝手やスペックを確認してから、購入を検討してほしい。
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