3位には当時世界最薄のフォルダブルスマホだった「HUAWEI Mate X3」を選出した。米国の制裁などがある中、5G対応などはできなかったものの展開時に7.85型の大画面を備えながら重量239g、閉じた状態でも11mmの薄さに収めたハードウェアが印象的だ。
また、ペリスコープ方式の望遠カメラを備えたり、IPX8等級の防水に対応するなど、普段使いでも安心して利用できる要素もしっかり備えた「現時点の究極系」と評せる仕上がりだった。
Mate X3の重量や厚さは一般的なハイエンドスマートフォンに並ぶもので、現に重量だけで比較するとiPhone 14 Pro Maxの240gよりも軽量だ。それゆえに本体を実際に持ってみると見かけ以上に軽量なのだ。
この体験は「次の時代の折りたたみスマホ」を感じさせ、筆者も初めて触ったときには衝撃を受けた。これに触れてしまうと、薄型軽量化されたGalaxy Z Fold5ですら「重く」感じてしまうのだ。スマートフォンで10gの重量差は数字以上に感じるが、折りたたみスマホの場合は展開時の画面が大きい分余計に感じられる。
これ以降に重量を240g以下に抑えた機種の「HONOR Magic V2」「Magic Vs 2」はいずれも229g。「OPPO Find N3(OnePlus OPEN)」が238gと軽量化が進んでいる。山折りタイプであれば「HONOR V Purse」が214gという驚異的な軽さを実現するなど、「折りたたみスマホは重くて分厚い」という価値観は過去のものになりそうだ。
第2位は「HUAWEI Mate 60 Pro」だ。このスマートフォンは事前告知なしの突然すぎる発表、発売という異例の販売方法で展開された。加えて、プロセッサのスペック、対応通信バンドといった「スマートフォンを選ぶ上で気になる部分」が非公開のまま発売された「謎のスマホ」という存在だった。
あまりに気になった筆者は9月上旬に香港に飛んで現地調達。先行して深センに飛んでいた友人に確認しても「店舗に在庫はなく、今予約しても入荷は来月になる」と回答をもらうなど、既に現地ではかなりの人気で入手困難となっていた。
ふたを開けたらプロセッサは中国HiSliconの「Kirin 9000S」だと判明。対応通信バンドを確認できる術がなかったものの、通信速度から日本国内でも5G通信に対応している可能性が極めて高いことを確認できた。
Mate 60 Pro自体はHuaweiらしい高いカメラ性能に加え、「北斗」を用いた衛星通話にも対応。オーディオ面では独自のL2HC 3.0に対応し、対応機器ではCD音源のビットレートを超える1.5Mbpsの情報量をワイヤレスで伝送できるなど、数多くの先進的要素も備えている。
Mate 60 Proの登場は、米国の課した制裁がほぼ意味をなさなかったという評価に加え、中国の半導体産業がある程度内製化されて高いレベルにあることを示した。数多くのイノベーティブな要素を備え、米国の制裁すら跳ねのけたMate 60 Proは携帯電話の歴史に残る存在だ。2023年のスマートフォン関連の出来事でもこれはかなり衝撃的だった。
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