Fire HD 10 キッズプロは、初期状態で「始めからアレもコレも使える」という訳ではありません。まず、保護者のAmazonアカウントでログインをして、Amazon.co.jpで購入済みのコンテンツ(本やビデオ)を追加したり、Amazon Kids+などのサービスに登録したりする必要があります。
本機には「Amazon Kids+」を1年間無料で利用できる特典が含まれており、本機からAmazonアカウントでログインして登録操作をすれば適用されます。無料期間を過ぎると、自動的に月額プランに移行し、毎月980円(Amazon Prime会員は480円)が請求されるので注意してください。なお、Amazon Kids+には「3か月プラン」と「年額プラン」も用意されており、料金設定は以下の通りとなっています。
Amazon Kids+は3〜12歳(未就学児〜小学生)向けのコンテンツが使い放題となるサービスで、アプリやゲームはもちろん、書籍、動画やゲームも用意されています。利用できるコンテンツは子どものプロフィール情報(≒年齢)から自動的にフィルタリングされる他、保護者が手動で設定することも可能です。
ともあれ、利用できるコンテンツは思った以上に豊富で、子どもたちにとって“夢のような時間”を過ごせる程度にはそろっていると思います。
サブスクリプション対象のコンテンツは、基本的に単品購入することも可能ですが、フィルタリングが必要な場合は都度設定が必要です。サブスクリプションとすることで、子どもにとって問題の無いコンテンツを使える状態でサッと渡せるという点で、保護者目線でもメリットがあります。
その上で強いて難点を挙げると、手動でフィルタリング設定する際に「特定のマンガ全巻」といった設定ができないことは困りました。シリーズ化された書籍でも、手動でフィルタリング対象に含める場合は1冊ずつ選ぶ必要があるのは手間です。
Amazon Kids+のコンテンツを筆者の小学2年の子どもに使わせてみました。最も興味を示したのは学習マンガです。自分で興味のあるコンテンツを探して、次から次へと読んでいました。
少し年下の6歳の子どもは、上の子のように本を次から次へと読むことは困難です。そのせいか、好きなゲーム関連の攻略/解説本や、動画を楽しんでいました。
従来のキッズ向けFireタブレットと比べると、本機はハードウェアのスペックが強化されています。そのこともあり、電子書籍の閲覧や動画の視聴に関しては力不足を感じることはありません。
ただ、実際にAmazon Kids+をFire HD 10 キッズプロと組み合わせて使ってみると「ちょっと気が利かないな」と感じる場面もありました。端的にいうと、年齢によるフィルタリングはあるものの、表示されるコンテンツが“お任せ”すぎるのです。
先述の通り、Amazon Kids+で使えるコンテンツは思っている以上に豊富にあります。そこからコンテンツを選び取るのは、年齢が低ければ低いほど難しいのではないかと思います。
選ぶ上でのヒントが充実していればいいのですが、例えば書籍については一覧表示されるのが本の「背表紙」と「タイトル」だけなので、それ以上の情報を得るには書籍をタップしなければいけません。書籍の情報は都度ダウンロードする仕組みとなっているため、わずかではありますが待ち時間も生じます。保護者……というよりもガジェット好きな筆者からすると、「データを事前取得(キャッシュ)してくれるといいのになぁ」と思うところです。
もっとも、子どもたち自身は意外とタイムラグを気にしていないようでもあります。背表紙とタイトルから読みたい本を選んで決めていたようですが、学校や地域の図書館などで「読んだことがある」あるいは「見たことがある」ものなら、探すのに迷うことは無いかもしれません。
とはいえ、今度は完全な保護者視点で考えると「新しい本と出会うきっかけ」になる仕組みに乏しいと思ってしまうのです。ホーム画面にはゲーム/アプリや動画を含めて「最近使ったもの」が表示されるのですが、関連するアイテムの表示はありません。
せめて「この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます」的なレコメンド機能があると新たなコンテンツとの出会いがあっていいのかなと思う所です。
若干の課題はあるものの、子どもたちはFire HD 10 キッズプロとAmazon Kids+に満足しているようです。では、親目線で見たFire HD 10 キッズプロを、もう少し“深掘り”してみようと思います。
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