Appleは5月30日、iPhone(iOS)の「ウォレット」アプリにおいて、日本の「マイナンバーカード(個人番号カード)」を利用できるように準備を進めていることを明らかにした。デジタル庁と協力して、2025年春の後半からから利用できるようになる予定だ。
【追記:15時】Appleとデジタル庁への取材をもとに追記を行いました。
iPhoneに搭載するマイナンバーカードでは、物理カードと同様に「コンビニエンスストアでの公的証明書の発行」「iOS版マイナポータルアプリへのアクセス」などに利用できる。カードのデータは「ISO 18013-5シリーズ」および「ISO 23220シリーズ」に定める基準に基づいて保存され、利用時はFace IDまたはTouch IDでの認証が必要となる。
なお、ウォレットアプリでの身分証明書の表示対応は米国外では初の事例となる。
米国では、ウォレットアプリに一部の州における「運転免許証」「身分証明書」や、一部の学校/企業における「学生証」「社員証」を追加できるようになっている。日本のマイナンバーカードは、米国外における身分証明書搭載の初事例となるAppleとデジタル庁によると、iPhoneのウォレットアプリではマイナンバーカードの「電子証明書」と「券面事項(氏名・住所・生年月日・性別・個人番号・本人の写真)」を搭載することが想定されているという。つまり、マイナンバーカードそのものと“同じ”ように使えるようにする前提に立っている。
しかし、現行のマイナンバー法(※1)は、スマートフォンをマイナンバーカードと同じように使うことを想定していない。現在開かれている通常国会(第213回国会)において審議されているデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案(※2)には、スマートフォンをマイナンバーカードと同じように使うために必要な、マイナンバー法の改正が盛り込まれている。
想定通り実装できるかどうかは国会の議論次第だが、本法律案は既に衆議院を通過済みで、5月30日付で参議院の委員会も通過した。次回の参議院本会議で可決されれば成立となる。
(※1)正式名称は「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」
(※2)正式名称は「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案」
マイナンバーカードの電子証明書については、2023年5月11日からAndroidスマートフォンの一部機種で既に利用できる。
先述の通り、iPhoneのウォレットアプリではマイナンバーカードの全機能を利用可能とする前提だが、Androidスマートフォンで電子証明書以外の機能を使えるようにするかどうかは「現在、検討中」(デジタル庁)とのことだ。
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