“学割”がない2024年の春商戦、その影響は? 法令改正のあおりも元ベテラン店員が教える「そこんとこ」(1/2 ページ)

» 2024年02月19日 18時00分 公開
[迎悟ITmedia]

 日本の携帯電話市場において、1年を通して最も盛り上がる商戦期が「春商戦」だ。

 この時期は、進学や進級、就職など、生活環境が変わるタイミングに合わせて、携帯電話を新規契約したり、新機種に買い替えたりする人が増える。そのため、街中の携帯電話販売店では、受付まで数時間待たされたり、場合によっては予約を取った上で後日案内となったりすることもある。春商戦の風物詩ともいえる光景だ。

 恐らく、今年(2024年)の春商戦もそうなのだろう……と思いきや、毎年恒例の“あるもの”を見かけなくなってしまったことや、2023年末に行われたガイドライン(総務省令)改訂の影響を受けて、いつもと違う雰囲気になる可能性がある。

 今回の元ベテラン店員が教える「そこんとこ」は、2024年の春商戦について携帯電話販売店のスタッフから話を聞いていく。

どうなる、春商戦 携帯電話の春商戦はどうなる……?(写真はイメージです)

2024年の春商戦には毎年恒例の「学割」がない

 携帯電話販売店の店員を務めていた頃の筆者は、1月中旬くらいから“あるもの”に向けた仕込みを行っていた。そう、「学割」だ。

 その名の通り、学割は就学年齢層(小学生〜大学生)をターゲットにした割引キャンペーンで、携帯電話回線の料金プランの割引が主な内容だ。ここ数年は各キャリアが競うようにキャンペーンの早期開始に取り組むようになり、11月末から始めるケースも出てくるようになった。

 当初の学割は契約者または利用者の“在学”を証明できないと適用できないものが多かったが、最近は“年齢”を条件にするものが中心で、25歳(満年齢:以下同)以下を対象とするものも存在した。

額割 就学年齢層を対象とする学割といえば、2000年から当時のディーディーアイ、エーユー(両社は現在のKDDI)と沖縄セルラー電話が始めた「ガク割」が元祖だった(画像は2020年シーズンの「au学割」のもの)

 しかし、気付いている人もいるかもしれないが、2024年シーズンは「学割」の告知を大々的にやっているキャリアが存在しない。厳密には、KDDIと沖縄セルラー電話の「UQ mobile」、ソフトバンクの「Y!mobile」では相変わらず学割(親子割)キャンペーンをやっているものの、NTTドコモやauブランド、SoftBankブランドでは「学割」を打ち出していないのだ。

 私事だが、筆者の娘は2024年春から中学生となる。そのため、学割キャンペーンを使おうと考えていたのだが、待てど暮らせどメインブランドの学割が出てこない。今回、春商戦について記事を書こうと考えたのは、このことがきっかけだったりする。

サブブランドではあるんですよね UQ mobileやY!mobileといった「サブブランド」では、親子を対象とする割引という体裁ではあるものの、広義の「学割」の告知がなされている。しかし、NTTドコモやau/SoftBankブランドでは「学割」の告知は強くなされていない

 先に種明かしをすると、ドコモ、au、ソフトバンクのいずれも学割を全くやっていない訳ではない。以下の記事にもあるように、やって“は”いる。

 しかし、ドコモの「U15はじめてスマホプラン」のように通年提供のプランだったり、auやSoftBankのように終了時期が未定で、いつまで訴求できるか不透明なキャンペーンだったりする。

 このような状況は、携帯電話販売店にどのような影響を与えているのか。複数のスタッフは以下のように語った。

 CMキャラクターだったり、春っぽい装いのポスター、カタログやチラシが店頭に並んだりすることで、毎年「春商戦」の雰囲気になります。その観点では、今年(2024年)はそれがないか、あっても薄いので、結構寂しい感じがします。

 お客さまも、何というのかショップから「季節感」を覚えないようです。年末くらいから学割キャンペーンが始まると、ポスターなどを見て立ち止まる方も多かったんですが、施策が変わったこともあってか、あまり立ち止まらないなと……。

 お客さまから「今年は学割ないの?」と聞かれることが増えてきました。今までは毎年恒例だったこともあり、このタイミングで家族全員で端末を買い換える方が多かったんですよね。

 ここ2〜3年、端末の返却(下取り)を前提にする購入プログラムが広がったこともあって、返却時期が近づいてきたお客さまが下見にいらっしゃることが多いんですが、学割相当のものを「学割」とアピールしなくなったせいか、「やってないの?」という質問が多いんですよね。

 私の勤める店舗は、複数キャリアの携帯電話サービスを取り扱う併売体制を取っています。私が担当するキャリアでは学割の類いはやっていないのですが、他のキャリア(ブランド)では学割やっています。すると「あっちの売り場(別キャリアのコーナー)で学割の案内出てるから見に来たけど、こっちの売り場ではやってないの?」とやってくることとも少なからずあります。

 もっとも、担当キャリアには15歳以下や18歳以下を対象とする手頃な専用料金プランが用意されているので、学割が全くないわけではありません。しかし、「今年の学割」のような大々的に使える訴求ツールは用意されていないので、お客さまは学生向けの割引プラン類がないものと認識しているかもしれません。ちょっと何か掲示できるものが欲しいな、とは思っています。

 やはり、大手キャリア(メインブランド)で「2024年の学割」として新たなキャンペーンが実施されていないことは、商戦に少なからず影響を与えているようだ。具体的には、「来店客が掲示物を見て気になって足を止め、そこでスタッフが案内の機会を得る」という、契約(販売)獲得の流れをつかみづらくなっているという。

 一部のスタッフの話にあった「他のキャリア(ブランド)では学割をやっている」は、先述の通りUQ mobileやY!mobileのことだが、両ブランドは親子割のおかげで売り場にも一定の活気があるようだ。従来は全キャリア(ブランド)が一斉に学割を実施していたこともあり、そこからメインブランドのユーザーが「そっちもやってないの?」とやって来ることもあるという。

 ある意味で、新しいキャンペーンがないにしても、“春商戦らしい”売り場作りや、来客に何らかの提案できる体制構築が課題となっている。

ショップのイメージ 学割を強力に訴求するキャンペーンがない中でも、商戦期らしい売り場の雰囲気作りが求められる(写真はイメージです)

 もう1つ、春商戦に影響を及ぼしているのが、携帯電話の販売に関するガイドライン(総務省令)の改訂だ。

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