“学割”がない2024年の春商戦、その影響は? 法令改正のあおりも元ベテラン店員が教える「そこんとこ」(2/2 ページ)

» 2024年02月19日 18時00分 公開
[迎悟ITmedia]
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春商戦に影を落とす「ガイドライン改定」

 春商戦は学割の少なさも課題だが、総務省が改定した「電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドライン」の影響も少なからず受けているという。今回話を聞いたスタッフからも、改定後のガイドラインによる利益提供(割引や還元)に関する不安や不満の話が複数出てきた。

 2023年末に法律が変わって割引に関するルールが変わりましたよね。幸いといっていいのかどうか分かりませんが、“あの手この手”を使うことで「実質1円」みたいな売り方ができなくもないので、当初想定していたよりも、端末の売れ行きは良好です。

 ただ、これは割賦(分割払い)契約を前提とする売り方なので、特にお子さま(学生)が“契約者”となる場合は、(売る立場として)ちょっと難しさを感じるところがあります。

 今までもそうだったんですが、初めて携帯電話を買ってあげる(買ってもらう場面)だと「分割払いは嫌」「とにかく安くしてほしい」っていうお客さまが多いんですよね。

 総務省のガイドラインによって、割引の上限が税別で2万円以上になったものの、割引可能な額は端末価格によって変わるので(※1)、価格によっては設定によっては大幅な値引きが困難な場合なケースもあります。よって、お客さまからは「ピッタリの機種がない(見つからない)という声もよくいただきます。

 そこをどう売っていくか――そこが春商戦の成否を左右しそうです。

(※1)対照価格(平均的な販売価格)が4万円未満の場合は2万円まで、4万円以上8万円以下の場合は半額まで、8万円超の場合は4万円まで

 進学を機に携帯電話を買う場合、中学校や高校の3年間は買ったものを使い続ける前提のお客さまが多いです。「1〜2年ごとに端末を返却すれば代金の負担は安く(軽く)なりますよ」という話をしたい所ですが、販売プログラムは割賦契約が前提なので、未成年のお客さまは親権者の同意が必要です。

 割賦契約については、親権者の同伴か、同意書を用意した上で電話確認もしないと契約できないので、これを面倒に思うお客さまもいらっしゃいます。となると、「目玉の最新モデルが1〜2年間、低負担で使えます!」という訴求も響きづらいものがあります。どうしたものかな、と策を検討しているところです。

 改正ガイドラインをかいくぐるべく、機種代金の定価を下げたり、返却を前提とした販売プログラムの最短返却期間を「2年」から「1年」に短縮するなど、大手キャリアはあの手この手で「安くスマホを使う方法」を編み出している。ソフトバンクの「新トクするサポート(バリュー)」は、その典型例だ。

 そのこともあって、スタッフの声にもある通り、新ガイドラインのネガティブな影響は想像するほどには大きく出ていないようだ。一方で、春商戦、とりわけ「子どものスマホ購入」との相性は良くないことも事実である。

2024年の春商戦はどう動く?

 ドコモ、au、SoftBankが学割アピールを強く行わないこともあって、2024年の春商戦は例年通りではないスタートを切ったのは間違いない。ガイドラインの改正についても、「なんで、年末のタイミングでやるのか。せめて春商戦が終わった後にやればいいじゃないか」という愚痴とも取れる声が多数寄せられた。

 事実、想像よりは悪くはないというものの、2023年と比べると1月の端末販売台数は落ち込んでいることには変わりないという。この調子でいくと、2月、3月も2023年超えは難しい――話を聞いた携帯電話販売スタッフの共通した見方だ。

 果たして、販売現場に“春”は来るのか。現場の様子を注視していきたい。

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