Googleは2024年3月7日、AndroidとGoogle Playの説明会を開催した。来日中のGoogle政府渉外・公共政策担当バイスプレジデントであるウィルソン・ホワイト(Wilson White)氏が登壇し、AndroidとGoogle Playの歴史や現在のエコシステムを語った。AppleのiOSを批判するひと幕もあった。
【更新:2024年3月10日11時45分 より正確な内容になるよう、タイトルの表現を一部変更いたしました。】
ホワイト氏はまず、Androidを「非常に広く普及しているOSである」と前置きし、「オープンソースのプラットフォームであり、そしてオープンなモバイルOSである」と紹介した。
Androidの長い歴史は、2005年にGoogleが、Android社というスタートアップを買収したところから始まる。当時のOSは「翌2006年の時点で、世界の人口の中でスマートフォンを持っていたのは、わずか1%だった」(同氏)と微々たる存在だった。
モバイル業界の潮流が大きく変わったのは2007年。米Appleが初代「iPhone」を発売した年で、日本ではフィーチャーフォン(いわゆるガラケー)全盛、真っただ中だった。同年11月にはGoogleが、Androidを携帯電話端末向けの包括的プラットフォームと位置付け、端末メーカーや通信事業者など33社とアライアンス「Open Handset Alliance」を組み、開発に力を注いだ。
Open Handset Allianceには、米T-Mobile、台湾のHTC、米Qualcomm、米Motorola、NTTドコモ、KDDIなど33社が参加し、それまでより「低コストな端末やサービスの開発および提供を実現するための技術開発を目指す」ことを目標に掲げていた。
そして、Androidは「OSへのアクセス、ダウンロード、ソースコードの改変が無償で行えるようにする」という考え方になるとともに、「オープンなモバイルOS」(同氏)へと進化を遂げたことで、「多くの障壁が取り払われた」という。
「具体的には、アプリの開発者が、アプリを開発して、世界にそれを届けることが可能になった。端末のメーカーとしては、OSをダウンロードした端末を売ることができるので、例えば、OSのライセンス料を払ったり、自社で0から開発したりするための費用がかからなくて済むようになったわけだ」(同氏)
そんなAndroidの端末には、基本的にアプリをダウンロードするためのアプリストアとして、「Google Play」が用意されている。
2024年現在は、アプリ開発者が「190以上の国と地域において、月間25億ものアクティブな端末」に対し、Google Playを通じてアプリを配信できるという。2022年には、世界で1日あたり1165億のアクティブユーザーが、開発者やアプリへアクセスしたという。
Androidの強みとして、Googleが推すのが柔軟性だ。それは、消費者がアプリを「どこから取得するのか」が選べる点。ホワイト氏は「この選択肢、柔軟性があるの(OS)はAndroidのみだ」と強調する。「Google Playからダウンロードしてよし。開発元のWebサイトからダウンロードするもよし」(同氏)
例えば、Samsung Electronics(サムスン電子)製のGalaxyシリーズは、Galaxy製品向けにカスタマイズしたUIを搭載させつつも、ベースのOSにはグローバルの一部端末を除いて、基本的にはAndroidを採用している。そのGalaxy端末では、「ユーザーがGoogle Playではないアプリストア、「Samsung Galaxy Store」からでもアプリをダウンロードできる」(同氏)ようになっている。
端末メーカーが自社の端末を設計、製造し、その端末で「どのようなユーザー体験を実現するのか、については自由にできる」ため、同氏はAndroidを「オープンなエコシステム」とも表現している。
さらに、OSと電話、SMS、メールなどの携帯電話端末における基本機能をバンドル(セットに)して提供することで、「コンシューマーの方のご期待値に応えられるようなエクスペリエンスが届けられる他、AppleのiPhoneのような競合他社とも戦えるようなもの(端末)が提供できる」(同氏)としている。
【訂正:2024年3月10日11時45分 「OSと電話、SMS、メールなどの携帯電話端末における基本機能をバンドル(セットに)して提供」→「OSと電話、SMS、メールなどの携帯電話端末における基本機能をバンドル(セットに)して販売」に修正いたしました。】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.