ahamo ポイ活をオプションという形にしたのは、「いつでも付け外しできる」(営業本部 オンラインCX部 ahamo推進室 室長 但川智之氏)ことを重視したからだという。発想としては、ahamo大盛りの大盛りオプションと同じで、「オプションという思想は残しつつ、キャンペーンとして10%還元を入れた」(同)。
料金プランと決済サービス連携が完全に一体化しているソフトバンクのペイトクとは、この点に違いがある。また、ペイトクは30GBプランも用意されているが、ahamo ポイ活はahamo大盛り一択。料金プランごとに還元率や還元上限が決まっているペイトクに比べると、構造はシンプルといえる。
その建て付けを見ると、ドコモにとってARPU(1ユーザーあたりの平均収入)を上げやすい仕掛けになっていることも分かる。まず、既存のahamo大盛りユーザーがポイ活オプションを契約すれば、dポイントの持ち出しは増える一方で、通信料収入は2200円上がる。
もう1つのターゲットは、大盛りオプションを付けていないahamoユーザーだ。先に述べたように、ここで得られたdポイントは、携帯電話料金への充当が可能。「上限4000ポイントを携帯料金に充当すると、2750円になる」(同)仕組みだ。キャンペーン期間中だとd払いで4万円使うという条件はあるが、100GBプランのahamo大盛りが2750円になるのはインパクトが大きい。「ベースのahamoをお使いの方に、よりお安く100GBの世界観を体感していただくことができる」(同)というわけだ。
さらに、4000ポイントを獲得するには、d払いの利用が必須になる。少なくとも、ahamo大盛りにポイ活オプションを付けたユーザーは、日々の支払いをなるべくd払いに寄せていくはずだ。調査会社MMD研究所が発表した1月の「決済・金融サービスの利用動向調査」によると、コード決済は利用可能な場所を先行して広げたPayPayのシェアが突出して高く、d払いと楽天ペイがシェア2位を争っている。ahamo ポイ活でブーストをかけることで、この利用率を上げていける可能性もある。
ARPUを上げつつ、ahamoユーザーに大盛りオプションに誘導でき、さらにd払いの利用率向上を狙える――その仕組みを解明していくと、ドコモにとって1粒で3度おいしい、よく練られた料金プランであることが分かる。とはいえ、4万円の支払いで上限の4000ポイントに達成できるのはキャンペーン期間中だけ。終了期間は未定だが、これが終わってしまうと還元率は3%に下がり、一気に達成が難しくなる。
4000ポイントを受け取るには、約13万3333円の支払いが必要になり、ahamoが主要なターゲットとしている若年層にはかなりハードルが高い。dカードGOLDを契約している場合、これが5%にアップする仕組みだが、それでも上限達成に必要な金額は8万円だ。オプションという建てつけのため、上限到達が難しければ簡単に解約されてしまうリスクもある。
キャンペーンの終了時期が流動的になっているのもそのためで、ユーザーの動向を見ながら、最適なスペックを徐々に変えていきたいからだ。但川氏も「お客さまの動きを把握しながら、どういう形でキャンペーンを終了するのか、あるいは延長するのかは社内で議論したい」と語る。そのため、ポイ活オプションそのものやキャンペーンの仕様変更がある可能性も明示されている。還元率の3%や、4000ポイントの上限も、あくまで将来の目安と捉えておけばいいだろう。
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