前回と今回の連載を通して、携帯電話ショップにとってキャリアから得られるインセンティブが超重要な“命綱”となっている様子が見て取れたと思う。インセンティブを得るにはとにかく販売数を稼がなければならず、それがショップの持続可能性にマイナスの影響を与えてしまっている面は否定できない。
一方で、キャリアショップであれ、家電量販店であれ、併売店であれ、携帯電話ショップは携帯電話の「相談窓口」としても機能している。少し大げさかもしれないが、ある種の社会インフラであるともいえる。広い層にICTを普及させる観点では、非常に重要な拠点といえる。
現状のインセンティブ制度は“販売一辺倒”なので、売れなければショップの存廃に関わってしまう。社会インフラとして携帯電話ショップを残すには、販売に偏重した評価制度は再考する必要がある。
それと並行して、販売代理店が地方の小規模店舗を手放す場合、経営体力に余裕のある大規模な代理店が引き取り、引き続き運営できる仕組みが定着すればいいとも思う。ある意味で「CSR(企業の社会的責任)」を果たすことにもなるので、企業イメージの向上につながる。
大手キャリアも、店舗に出向かなくても必要な手続きを進められるように、Web(インターネット)や電話窓口を拡充している。「だからショップはもういらない」という人もいる。しかし、全ての人がWebや電話を使いこなせるわけでない。
インフラといえども、携帯電話サービスや携帯電話ショップは「慈善事業」ではない。経済の原理である程度閉店してしまうことは仕方ない。
しかし、地域の中で客入りの良い、にぎわっている携帯電話ショップは「回りに頼れる場所がないからにぎわっている」という見方もできるので、地域に根ざした店舗を存続できるような仕組みの整備も重要だと筆者は考える。
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