「povo2.0」に“最短3分”契約のデータ専用プランが加わった背景 新サービスへの布石か:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2024年03月30日 10時00分 公開
[石野純也,ITmedia]

 KDDIのオンライン専用ブランド「povo2.0」に、データ専用プランが加わった。音声通話やSMSには非対応ながら、「最短3分で開通」することを売りにしている。提供開始までの時間を短くするため、物理的なSIMカードはなく、eSIM専用。もともとpovo2.0は基本料が無料のため、データ通信専用でも料金は変わらない。音声通話に対応する通常のpovo2.0と同様、トッピングも利用できる。

povoデータ通信専用プラン KDDIは、povo2.0でデータ通信専用プランの提供を開始した。最短3分で開通することを売りにしている

 一方で、音声通話やSMSができず、物理SIMもなく、eSIMプロファイルの再発行にも非対応。「大は小を兼ねる」という観点では、音声通話に対応した通常のpovo2.0よりもサービスが“劣化”しているようにも見えてしまう。音声通話に非対応だったiPadなどのタブレットにも、通常のpovo2.0は使えたからだ。では、なぜpovo2.0はデータ通信専用のSIM発行に踏み切ったのか。実際に契約しつつ、その狙いを解説していきたい。

eSIM専用のデータ専用プラン、本人確認の省略が狙いか

 データ通信専用という点を除けば、そのスペックはおおむねこれまでのpovo2.0と同じ。音声通話とSMSは利用できない一方で、トッピングを付けることは可能で、5Gにも対応している。ネットワークもauやUQ mobileと同じだ。MVNOとは異なり、相互接続点(POI)にボトルネックがあるわけではないため、基本的には通信品質も変わらない。

 大きな違いは、物理SIMに非対応なところ。ユーザーがeSIM対応端末を持っていなければ利用はできない。また、eSIMのプロファイルを再発行し、新たな端末に移すことも不可能になっている。データ通信専用ゆえに、電話番号を新しい端末に移すための“機種変更”をする必要性は薄いが、トッピングを付けた状態のまま新しい端末にプロファイルを移せない点には注意が必要だ。

povoデータ通信専用プラン トッピングを買って利用する点や、通信品質などは同じだが、音声通話やSMS以外にも、一部非対応のサービスがある

 また、申し込み時にクレジットカードの登録だけでなく、初回のトッピングを購入しなければならない。選べるのは、「データ使い放題(24時間)」か「データ追加0.3GB(365日間)」。すぐにpovo2.0で大量のデータ通信をしたいときには前者、タブレットなどに入れて長く使っていきたいときには後者をトッピングすればいいだろう。どちらも料金は330円(税込み)かかる。

povoデータ通信専用プラン 開通時に、1つトッピングを付ける必要があるのはデータ専用プランだけの仕様。どちらも料金は330円かかる

 音声通話やSMS、プロファイルの再発行に非対応という仕様面だけで判断すると、通常のpovo2.0より劣っているようにも見えるが、データ通信専用SIMの売りはそこにあるわけではない。「最短3分」をうたっていることからも分かるように、KDDI Digital Lifeも利用開始までの時間の短さを売りにしている。

 音声通話に対応している場合、身分証明書を使った本人確認が法律で必須になっているからだ。povo2.0は、オンラインで契約できるeKYCに対応しているが、契約の途中で身分証明書と本人の画像を照合させるプロセスがある。画像などを使ったなりすましを防ぐため、画面の指示に従い、顔を動かす必要もあり、時間や手間がかかるのも事実だ。これに対し、データ通信専用のSIMであれば、本人確認を簡略化することが可能だ。

povoデータ通信専用プラン 音声通話対応の場合、本人確認書類のアップロードやeKYCのための顔の撮影が必要になる。データ専用プランは、その手間を省略できる

 MNOやMVNOの一部は、データ通信専用SIMでも本人確認を実施しているが、これはあくまで業界団体の定めた自主規制にのっとったもの。法律で定められたルールではない。実際、楽天モバイルも楽天カードなどの個人情報を使って契約を簡略化する際には、データ通信専用SIMを用意していた。支払いのためのクレジットカードや住所などの情報は必要だが、eKYCほど厳密な手続きをしなくて済むため、すぐにデータ通信をしたいというユーザーのニーズには応えられる。povo2.0のデータ通信専用SIMも、発想は同じとみていいだろう。

【更新:2024年3月30日13時05分 「MVNOの一部」→「MNOやMVNOの一部」と修正しました。】

povoデータ通信専用プラン 契約時の本人確認は、携帯電話不正利用防止法でキャリアやMVNO各社に義務付けられている。一方で、データ通信は総務省のQ&Aにもあるように、携帯音声通信役務に当たらないため対象外だ
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月11日 更新
  1. ダイソーで1100円のノイキャンイヤフォン「TWS009」を試す 騒音カットの効果は実感も電池持ちに課題か (2026年10月09日)
  2. 資産3000万円以上が対象 MUFG「エムット」最上位サービスと“年会費無料”アメックス・プラチナの魅力とは (2026年10月08日)
  3. ダイソーで1100円の「GaN USB充電器」は折り畳みプラグで外出用に持ち歩きやすい 45W出力対応でPCでも使える (2026年10月10日)
  4. スマホの「実質価格」高騰の恐れ、iPhone 18 Proは2倍高く? 総務省の残価設定ルール厳格化は“誰のため”か (2026年10月10日)
  5. 10月1日から楽天モバイルの「au 4G LTEエリアローミング」が縮小も意外と残っている件 (2026年10月10日)
  6. 「iPhone 18 Pro Max」を試して分かった進化と課題 想像以上に“使えた”可変絞り搭載カメラ (2026年10月09日)
  7. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  8. ドコモが「Google Pixel 10a(256GB)」を11万6930円に値上げ 2年7万円台に (2026年10月09日)
  9. 「iPhone Duo」は閉じても開いても迷わず使える Appleが提示するUIの設計思想 (2026年10月10日)
  10. 楽天グループ、1億件超の会員情報流出説を否定 「情報漏えいが発生したという事実は確認されておりません」 (2026年10月09日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー